
「天神の森」はスダジイ(椎の木)を主体とした自然林である。この森の見どころは発達した「板根」が圧巻の迫力である巨老木だ。板根は南洋の熱帯雨林地域では多く見られるが、日本では学術的にも珍しいとのこと。その隣には巨老木に寄り添うかのように社殿が佇んでいる。非常に風情溢れる、癒し系スポットだ。飯高寺から徒歩圏内なので、併せて訪れたい。

急勾配の石段を囲む竹林も癒しの空間である。天神の森はロケ地に使われることが度々あるようで、NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の撮影が行われたことでも知られている。

飯高檀林の学僧も祈願した学問の神様である「飯高神社(いいだかじんじゃ)」。昭和62(1987)年、修理の際に発見された屋根の銅板に宝暦8(1758)年と記されていたことから18世紀後半の建築物とされている。大きな特徴は、壁面、扉などに中国の説話にもとづく二十四孝の彫刻が施してあるほか、本殿のあらゆる部分にも彫物で装飾されていることだ。下総の神社彫刻を研究するうえで貴重な存在であり、本殿は県の有形文化財に指定されている。

天下泰平、開運勝利などの願いが成就すると言われる「妙福寺」は、日蓮宗の古刹だ。5月頃には樹齢約700年と伝わる藤棚に美しい花が咲き、多くの人で賑わい見せる。このことから別名「藤の寺」と呼ばれている。またその昔、水戸光圀公が参拝に訪れた際、お手植えされた梅があったとも言われている。

「池田堤」とは、1695(元禄8)年に飯高檀林を訪れた水戸光圀公一行のために作られた道である。当時の村人が総出で作業したそうだ。当時は2本の道が作られたが、現存するのは「池田提」のみである。ゆっくりとサイクリングでもしながら、光圀公の気分に浸るのも良いかも知れない。