秦の始皇帝から不老不死の薬を探す命を受け、今から約2,200年前に日本にやってきたと伝わる「徐福」。実在したかどうかもわかっていないが、まつわる伝説は日本の各地に存在し、なかでも佐賀市は徐福にまつわる逸話が数多くのこされている地域である。

佐賀と徐福の関係を表しているのが「
徐福長寿館」。ここは日本で唯一となる徐福の公的資料館で、徐福伝説をわかりやすくしたアニメーションや、日本全国の徐福伝説の紹介など、徐福に関する様々な資料や研究の展示がされており、その質と量は思わず徐福が実在を信じてしまうほど。さらに、徐福が探していたといわれる不老不死の薬に関連し、「健康と長寿」をテーマにした薬草や漢方薬の紹介もされている。


そんな徐福長寿館がある「
金立公園」は、27.4ヘクタールの広さがある総合公園で、徐福長寿館のほかに「薬用植物園」や「コスモス園」があったり、バンガローやバーベキュー場などの施設も用意され、いろいろな楽しみ方が可能。これらの施設は、長崎自動車道・金立サービスエリアから徒歩でも来園できるので、気軽に足を運べる。

佐賀平野を一望できる金立山の山頂にある「
金立神社上宮」は、創建年代は不明ながら860年(平安時代)に従五位下を授けられたといわれている神社。ここでは保食神(うけもちのかみ)・罔象売女命(みずほめのみこと)といった日本の古い神々とならび、「秦の徐福」も神として祀られており、50年ごとに徐福が通った道をたどる「御神幸」が行なわれている。


佐賀県の重要無形文化財に指定されている「
新北(にきた)神社」も、ホームページのトップで「徐福伝説の社 」と明記。拝殿東には徐福が種を手植えしたと伝わる「ビャクシン」の木があり、佐賀市の天然記念物に指定されている。

1991年に廃止された旧国鉄・佐賀線の跡地は、全長約5kmの歩行者・自転車専用道路として生まれかわり「
徐福サイクルロード」と名付けられた。

スタート地点には徐福像の陶板レリーフと徐福到来の歴史が記され、地域の人々と徐福のつながりの深さをうかがわせる。
佐賀県では公式観光サイトでも
徐福伝説がとりあげられ、ココで紹介した以外にもさまざまなスポットが紹介されている。「徐福」が実在したかどうかはわからないが、地域の文化としては間違いなく在る。確定していない歴史とそれにもとずく文化を巡る旅というのも、なかなかロマンがあるのではないだろうか。
画像提供:佐賀市観光協会