尋ねれば立身出世を確約!? うだつの「上がる」町並み
〈岐阜県美濃市〉

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「うだつが上がる男になれ」と祖母にいわれた記憶がある。立身出世せよという意味である。町と家の繁栄が「うだつ」に表現される町並みを訪れるたびに、その言葉が身にしみた。この意味を実感することになった極めつけは、美濃の町並みに出会った時である。それまで見たことのない、繊細で優美なうだつがずらりと上がり、歴史的町並みに品格を与えている。単に「うだつ」を上げるだけでなく、品格を持って生きることのたいせつさを教えられるようだ。
石塀郡上美濃四間170
長良川鉄道美濃市駅からうだつのある町並みに向けて歩いていると、かつての名鉄美濃町線美濃駅が保存されていた。この駅舎は1911(明治44)年2月に美濃電気軌道の駅舎として開業した由緒ある洋風木造建築で、現在は国登録有形文化財になっている。まさに美濃のランドマークとしてふさわしい存在なのである。
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めざすうだつのある町並みは、まちづくりの名手として名高い、金森長近による江戸期の町割りが見事に残っている。空から見ると「目」の字のような東西二筋、南北四筋の通り沿いに連なっているのだ。規則正しい通りを歩き、町家のうだつをよく見てみると同じものはひとつとしてない。それぞれに個性豊かで、装飾や瓦が実に凝っている。
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かつてこの町では多くの町家が美濃和紙を商っていた。なかでも、修復保存され公開中の旧今井家住宅(市指定文化財)を訪れると、当時の豪商の生活ぶりを実感できる。深く透明感がある音色を奏でる水琴窟が中庭にあるなど、京都の町家を思わせる建造物としても貴重である。
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シンプルな意匠のうだつが、比較的年代が古いとパンフレットに説明があった。解説文をよく見ると「うだつのある町並み」ではなく、「うだつの上がる町並み」と書いてある。なるほど、今はやりのパワースポットではないが、ご利益がありそうな美濃の町並みである。
 
写真:米山淳一

INFORMATION

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レポーター

米山 淳一〔よねやま じゅんいち〕

獨協大学外国学部英語学科卒業。岸信介事務所を経て、75 年(財)観光資源保護財団(現(財)日本ナショナルトラスト)入所。事業課長、事務局長を経て、06 年退職。現在は母校の獨協大学等で講義を行うほか、地域遺産プロデューサーとして全国で歴史を活かしたまちづくりプロジェクトを推進。現在、公益社団法人横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)常務理事・事務局長

一般社団法人 日本茅葺文化協会理事
一般財団法人 茶道宗偏流不審庵理事
日本鉄道保存協会事務局長
東映株式会社「大鉄道博覧会」企画プロデューサー
一般財団法人 東武博物館アドバイザー ほか


【著書】
●歴史鉄道 酔余の町並み(駒草出版)
  http://komakusa-pub.shop-pro.jp/?pid=61024099
●続・歴史鉄道 酔余の町並み〈2016年2月1日発売〉(駒草出版)
●写真集「光り輝く特急「とき」の時代」(駒草出版)
◎「地域遺産みんなと奮戦記」(学芸出版)
◎「歩きたい歴史の町並」 文 米山淳一 写真 森田隆敏(JTBパブリッシング)

http://www.j-yoneyama.jp/

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