伊勢神宮への参宮客でにぎわった「伊勢の台所」
〈三重県伊勢市〉

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かつて伊勢河崎の町並みは勢田川の両岸にびっしりと並んでいた。その多くは切妻造りの木造建築で、土蔵をしたがえ、独特の町並みを形成していた。下見板は真っ黒で一層重みを感じる建物が印象的だった。
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これは、煤を魚の油で練った濡れカラスと呼ばれる防腐剤を塗っているからである。今も数件ではあるが、この手の商家が残っている。「伊勢の台所」の言葉どおり、舟運華やかなりしころから河崎の町は伊勢の繁栄の象徴であった。だから市民は伊勢神宮ばかりでなく、河崎の町並みを郷土の誇るべき歴史的遺産として保存を提唱したのである。
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ところが、河崎の辺りの川幅が狭いからとの理由で拡副が推進され、歴史的建造物の織りなす落ち着いた水際景観は大いに薄れて、勢田川を跨ぐ橋梁から見た町のようすは、一変してしまったのである。
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しかし、伊勢商人のDNAを受け継いだ町衆が、新たな地域活動を開始した。由緒ある造り酒屋を「伊勢河崎商人館」として再生させたのである。もちろん地元自治体が支援してのプロジェクトであり、意義ある拠点整備ができあがったといえる。一般公開され、資料の展示はもとより来訪者との交流拠点として大いに機能している。
 
写真:米山淳一

INFORMATION

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レポーター

米山 淳一〔よねやま じゅんいち〕

獨協大学外国学部英語学科卒業。岸信介事務所を経て、75 年(財)観光資源保護財団(現(財)日本ナショナルトラスト)入所。事業課長、事務局長を経て、06 年退職。現在は母校の獨協大学等で講義を行うほか、地域遺産プロデューサーとして全国で歴史を活かしたまちづくりプロジェクトを推進。現在、公益社団法人横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)常務理事・事務局長

一般社団法人 日本茅葺文化協会理事
一般財団法人 茶道宗偏流不審庵理事
日本鉄道保存協会事務局長
東映株式会社「大鉄道博覧会」企画プロデューサー
一般財団法人 東武博物館アドバイザー ほか


【著書】
●酔余の町並み(駒草出版)
  http://komakusa-pub.shop-pro.jp/?pid=61024099
●続・酔余の町並み〈2016年1月刊行予定〉(駒草出版)
●写真集「特急 とき」(駒草出版)
◎「地域遺産みんなと奮戦記」(学芸出版)
◎「歩きたい歴史の町並」 文 米山淳一 写真 森田隆敏(JTBパブリッシング)

http://www.j-yoneyama.jp/

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