400年の時を超え、在りし日の銀山町の賑わいを今に伝える世界遺産「石見銀山」
<島根県・大田市>

日本は資源のない国といわれているが、中世から近代にかけて、金・銀・銅・砂鉄など、鉱業が産業を支えていた時代があった。往時の物語を伝える「石見銀山」一帯は、とても貴重な歴史遺産である。
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2007年世界遺産に登録されたエリアは、大森地区・銀山地区・銀山街道・積出港と町並(鞆ヶ浦・温泉津地区)と広範囲に渡っている。それは、ここがただの鉱山跡ではなく、壮大な歴史物語とともに、当時の面影をとてもよく残しているからだ。鉱山から産出された銀は、山越えの銀街道を通って港へと至り、国内はもとより、はるかに海を渡って遠く東アジアやヨーロッパまで運ばれていたという。
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重伝建地区に指定された大森の町並は、銀山川沿いの谷間に延びる約2.8キロの範囲で、石州瓦を葺いた純度の高い歴史的町並みであり、代官所跡や郷宿、武家屋敷、商家などが現存し、背後の山裾には社寺や墓地、石切場なども残され、鉱山町の歴史的景観を良好に伝えている。
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鞆ケ浦(ともがうら)
銀山街道「鞆ケ浦道」を抜けると、銀山から最短距離にある天然の入江「鞆ケ浦」に出る。銀山発見当初は精錬技術がなく、銀鉱石そのものがここから積み出されたと伝えられる。船を係留する綱を結ぶため自然の岩盤をくり抜いて作った「鼻ぐり岩」が数箇所残っており、いまでは静謐にしずまりかえった入江に往時のようすが偲ばれる。
 
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「沖泊」(おきどまり)
温泉津側からトンネルを抜けると、深い入り江と水深にめぐまれ、古くから天然の良港といわれた「沖泊」にでる。ここも銀の積み出しや銀山での消費物資の陸揚げなど、銀山の外港として重要な役割を担った港である。北前船が出入りする活気に満ちた当時の幻影が見えるようだ。
 
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温泉津(ゆのつ)
旅の僧が湯に浸かって傷を治している狸を見つけた、大国主命が病気のウサギをお湯に入れて救った、などの始まりの謂れをもつ。約1300年の歴史を持ち、湯治場としての由緒ある温泉である。
 
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外湯は「元湯泉薬湯」と「薬師湯」の2箇所あり、どちらも源泉に一切手を加えず、万病に効くという薬効の高さには定評がある。
 
写真/岡崎聡

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岡崎聡

「町旅」編集部

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