【再掲】燃える天然記念物! 伊豆半島の春を告げる山の丸焼きを見よ
<静岡県伊東市>

毎年2月の第2日曜日に行われる静岡県伊東市の大室山山焼き。記事は2016年に取材したものです。 今年(2018)は2月11日(日)が予定日ですが、天候により延期になる場合も多い催事なので…。詳しくは記事をご覧ください。

 

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伊豆半島伊東市にある大室山は標高580mの独立峰で、単成火山の典型例として2010年に国の天然記念物に指定された名峰。お椀を逆さにしたような美しい形はまさに絵に描いたような山容で、火口のなかには大室山浅間神社という神社も存在している。そのためか2016年に大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」に登場する山に似ているとネットの一部で話題にもなりました。

 

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特徴あるシルエットは東伊豆の様々な場所から確認でき、個人的に東伊豆のランドマーク的存在だと思ってます。

 

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大室山は歩いての登山は禁止されていますが、リフトに乗れば山頂まで6分。ちょっと怖がる人もいそうな角度でぐいぐい登っていきます。

 

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お鉢は歩いて一周できるので、晴れていれば富士山や伊豆七島など、360度の眺望が楽しめます。ただし、風が強い時があるので、リフトに乗る前に上着を一枚持っておいた方がよいでしょう。

 

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そんな大室山でぜひ見ていただきたいのが、700年余りの伝統がある「山焼き」。なんと、 カヤで覆われた山に火をつけ全体を焼き上げてしまうという、年一回の大イベントです。午前中に噴火口内が焼かれたあと、式典を挟んでから山全体に火をつけます。

 

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先着順(有料)で山に火をつける権利を得た一般の方たちが、消防団とともに山麓に散らばり準備万端。見ている方の期待も最高潮に達する瞬間です。

 

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本部の合図とともに点火されるのですが、最初はチロチロとした火がいくつも上がっていくだけ…「これで山が燃えるのか? 」と不安になりますが…。

 

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中腹のやや下あたりから、合流した火炎が一気に勢いを増し、バチバチという音とともに盛大に燃えはじめます。けっこう離れていても熱さを感じ迫力満点! 巨大な火炎はそれだけで人を興奮させる力がありますね!!

 

大室山山焼きの動画

 

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舞い上がった煤と煙で空も急速に暗くなります。想像以上の急展開は驚きの一言。前々回訪れたときは龍のように渦をまいて舞い上がる気流も発生! 本当の山火事の恐ろしさを想像してしまうとともに、貴重な現象を見ることができて来て良かったと思いました。

 

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鎮火後はリフトが再稼働するので、生々しい焼け跡を残すお鉢を歩いてみては。もの凄い熱量を感じた後に見ると、所々に焼け残った部分があるのが奇跡的に感じます。正面に見えるのがリフトの駅で、そこから火口内に続く階段を下りると、安産と縁結びにご利益があるといわれる「大室山浅間神社」も中腹にあります。さらに、火口の底まで降りるとなぜだかアーチェリー場が? ここでは観光客向けのお手軽体験なども用意されています。

 

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ちなみに…山焼きの実施は毎年2月の第2日曜日というコトになっているのですが、雨風や積雪などの状況により、延期になることも多いです。記憶では3月まで引っ張ったこともあるので、大室山リフトのHPなどで開催状況を確認してからお出かけを。

 

【延期時のオススメ】
延期が続くと桜が咲き始め、花見も一緒に楽しめるというメリットが発生します。山焼きの見物スポットである「さくらの里」は、その名の通り桜の名所。そこがまだ咲いていない場合は、早咲きで有名な「河津の桜まつりまで足を伸ばすと良いでしょう。

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【再掲】酒宴以外の花見はココにある! 桜並木をのんびり歩き、温泉で癒される「河津桜まつり」
<静岡県河津町>

100万人近くが訪れるという伊豆最大級のイベント「河津桜まつり」が、今年(2018年)も2月10日(土)~3月10日(土)の日程で開催されます。町歩きや温泉に加えて、一足早い春の訪れを楽しんではいかが?

 

kawazu01オオシマザクラ系とカンヒザクラ系の自然交配種と推定される河津桜は、1955年に河津川沿いで町の人が見つけた苗が原木で、早咲きの桜として有名。毎年2月上旬頃から淡紅色の花が約1ヶ月にわたって咲き続け長く楽しめるのも特徴で、同じく約1ヶ月開催される「河津の桜まつり」がビックイベントになった一因ともいえそうです。

 

kawazu00この時期の河津町はあちこちで美しい桜を目にすることができますが、なんといってもメインは河津川の土手沿い。河口近くから約3㎞に渡って咲き乱れるピンク色は見事の一言。山に挟まれた川沿いにそって続く桜の木々は、子供のころ見た絵本を思わせる童話的な景観です。

 

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河津桜まつりのお花見は、陣取って酒を飲むのではなく、歩きながら見て回るスタイル。土手上の道沿いにはたくさんの出店が並んでいて、そちらを覗くのも楽しみの一つ。有名スイーツの出張販売や地元商店の仮設店舗はもちろん、地元のお母さん達が庭でやっているお店があるなど、店も商品もバラエティに富んでいて驚かされます。

 

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試しに河津桜まつり期間中にしか開かれないという店に入ってみました。ココはお土産としても売っている干物や貝を、店内の七輪で自分で焼いて食べるお店で、席を確保したら外に干物などを買いに行きます。七輪で焼いて食べるのは楽しいのですが、火加減がちょっと難しい。油断していると焼けすぎてしまうので注意が必要です。ちなみに、ご飯やアルコールなどは注文すると持ってきてくれます。

 

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kawazu08河口から上流のほうへ歩いていくとだんだんと店や人が減ってきますが、桜のアーチなどもあるので落ち着いて見たい人や撮影をしたい人にはおススメ。河原に降りられる場所もあるので、桜の谷に挟まれたような景色を見ることもできますし、桜を見ながら入れる無料の足湯もあります。

 

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kawazu10川沿いに何か所かある足湯のうち「豊泉の足湯処」があるところまで歩いたなら、ぜひ立ち寄りたいのが「峰温泉大噴湯公園」。kawazu11
1926(大正15)年に誕生してから、ずっと熱泉が吹き出し続けているそうで、100度の温泉が地上30メートルまで吹き上がるさまが、1時間おきに見られます。公園自体は新しくきれいですが、吹き上げ口にある木造塔は歴史を感じさせる構造。人の手で絞らないと噴出し続けるという熱泉の勢いが、塔を包む湯気からうかがえますね。

 

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kawazu13kawazu14温泉があれば入りたくなるのが人情ってもの、公園内は足湯も用意されていますが、せっかくなのでどっぷり浸かりたいという方は、すぐ近くの町営「踊り子温泉会館」がおススメ。河津桜のシーズンは露店風呂から桜並木が眺められます。また、泊まってゆっくり楽しみたい人は、大正15年創業の「玉峰館」や昭和初期の風情を残す「竹の庄」など、伝統ある温泉旅館で贅沢な時間を味わってはいかがでしょう。

 

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kawazu15bそういえば、踊り子温泉会館の入り口横には、樹齢800年以上と推定されている「新町の大ソテツ」が生えています。生垣に囲まれているうえ、入り口も狭いので気がつかない人もいるかも。ちょっと地味な扱いですが、1936(昭和11)年には国の天然記念物に指定されている名木。曲がりくねって四方八方に伸びている様子は、とても一本の木とは思えません。

 

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温泉に入った後は、もう一度桜並木を歩いてみてください。所々ライトアップされた夜桜は、昼とはまた違った表情を見せてくれますよ。

おっ、弥次さん!喜多さん!?旧東海道の宿場町「関宿」
<三重県・亀山市>

東海道五十三次、その宿場の風情を今に残す関宿。耳を澄ますと、江戸と京を行き来した大勢の旅人たちの賑わいが聴こえるようだ。

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お江戸・日本橋を出発して東海道を上ると、関は四七番目の宿場町である。ここから鈴鹿の山を越えると近江に入り、京・三条まではもうすこし。往時は、これから峠を越える人、下りた人で、たいへんな賑わいであったそうだ。いまもその当時の風景をよく伝えている町並みであり、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。

いまは東海道線や名神高速道路が関ケ原を抜けるルートなので、そっちが東海道のように思いがちだが、関ケ原を通るルートは旧中山道であり、旧東海道およびそれを踏襲した国道1号線はこの関宿を通る鈴鹿越えである。現在は、鈴鹿越えの新名神高速道路が開通しているので、自動車でのルートはまた旧ルートへ戻ったともいえる。

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さて、JR関駅を降りると、徒歩約10分で宿場のど真ん中の中町に至る。江戸時代後期から明治時代にかけて建てられた町家が200棟以上も現存し、宿場の東の入口にあたる東追分から、西の入口、西追分までは約一・八キロメートルもある。この間に木崎、中町、北裏、新所の四地区があり、それぞれ特徴的な歴史的景観を形成している。街道沿いの伝統的建造物は長年、地道に修復がなされたおかげで、整然とした町並み景観を創出している。

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宿場の中心に当たる中町には、かつて川北本陣と伊藤本陣の二軒の本陣があったが、現在は伊藤本陣の格子をそなえた店の間部分の建物が残っている。復元された旅(はたご) 籠「玉屋」は歴史資料館として公開されており、一階の開口部はオープンスペース的に使用されている。

江戸期からの両替商であった橋爪家住宅は、関宿でも珍しい切(きり) 妻(づま) 造りの建物。他にも、関宿を代表する旅籠「会津屋」、二階の洋風の意の窓が特徴的な「洋館屋」など、伝統的建造物がリズミカルに並んでいる。

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旧東海道を軸として家並みが連なるようすは、まさに江戸時代そのもの。宿場の四方を見渡せば、まるで弥次さん・喜多さんになった気分である。

写真/米山淳一

【再掲】歴史的景観地区を華やかに彩る「真壁のひなまつり」
<茨城県桜川市>

茨城県桜川市真壁町で2018年2月4日(日)~3月3日(土)の約一か月間開催される「真壁のひなまつり」。2017年開催時に町旅編集部がボランティアガイドさんに案内していただいた記事を再掲載いたします。180をこえるお雛様が楽しめるこの機会に、歴史的町並みが残る真壁町を訪れてはいかがでしょう。

 

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筑波山の北に位置する桜川市真壁町は、戦国時代の城下町の町割りがいまだに残り、地域にある登録文化財の数も100をゆうにこえる歴史を感じさせる町である。中心部は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、ゆっくり町歩きを楽しむにはもってこいの地域だ。

 

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そんな真壁町に大勢の人が押し寄せるのが、2月上旬から3月3日まで行われる「真壁のひなまつり」である。

 

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10万人以上の来訪者があるというこの期間は、地元の方々が自主的に飾ったおひな様で町が華やかに染め上がる。町内で展示されるひな飾りはなんと160体以上。そのすべてを紹介するのは難しいので、通常時も町歩きガイドをしているボランティアの方に見どころを案内してもらうことにした。

 

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スタートは江戸時代は真壁陣屋であったという場所に建てられた真壁伝承館。ここには真壁の歴史や江戸時代から大きな変化がないという町割りの模型など、町を歩く前に知っておきたい情報が満載。ついつい長居してしまいそうだったが、今回はひなまつり期間なので早々に切り上げ町へ。

 

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と思ったら、向かったのは併設する図書館。なぜ?と思いながら館内に入ると、日本の古典とともに「本棚」に飾られたお雛様がお目見え!

 

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一体一体をよく見るとそれぞれの人形が古典を読んでいるという凝りよう。ちなみに男雛は古今和歌集、女雛は土佐日記、官女の1人は伊勢物語など、キャラクターにあわせた本がチョイスされていてディティールへのこだわりも相当だ。ディスプレイとしての完成度も高く、「ひな飾りなんてどれも大差ない」と思っている人も、これを見たら興味が湧いてくる一作といえる。

 

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伝承館の一つとなりの区画にある「村井醸造」は、延宝年間(1673~1680)に店を構えたという記録が残る老舗の造り酒屋で、店舗・蔵・煙突は登録有形文化財である。

 

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ひなまつり期間中はひな飾りの展示のほかにも、お酒の試飲販売や酒蔵見学…

 

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地元アーティストによる作品の展示や販売など様々な催しが行なわれている。

 

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試飲コーナーの近くに飾られたお雛様は、昭和10年代から伝えられているというもの。段飾りの麓には裏書きされた木箱も展示され、長年大切に扱われてきたことがよくわかる。ガイドさんに教えられて注目したのが、一番下に飾られた3体の仕丁(じちょう)。通常は傘や箒などの道具を持っていることが多いのだが、こちらの仕丁たちは手ぶらだったり、酒器やつまみを持っていたりと宴会モードなのである。

 

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約100年も酒蔵にいて相当できあがっているはずだが、お酒を飲んで楽しそうにしている仕丁のいきいきとした顔をみると、見ている方も一杯やりたくなってくる。

 

つづく。

ラーメン、蕎麦、酒/蔵の町「喜多方」の楽しみ方
<福島県喜多方市>

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“喜多方といえばラーメン”というイメージだが、そもそも蕎麦の産地であることを忘れてはいけない。山間部を中心に蕎麦の作付面積は全国6位、秋のはじめには、いちめんの真っ白い蕎麦の花を楽しむことができる。盆地特有の寒暖差など、風味のよい蕎麦が育つ条件がそろっており、遠くから訪れる蕎麦ファンも多い。
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もちろん食べるだけではなくて、蕎麦打ちの体験はおすすめだ。地元の名人に指導していただき、十割蕎麦を打つ。そば粉を、こね、伸ばし、打って、切り、茹でて、そして、いよいよ試食。自ら打った蕎麦を食する、まさに至福の瞬間である。ここ喜多方には、上質の伏流水で仕込んだ酒造りの蔵元が10もあり、旨い蕎麦と酒、“いやあ~日本人でよかったなあ”と思える絶妙の組み合わせが楽しめるのだ。
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喜多方ラーメンの発祥は大正時代、中国から来た青年が屋台で売り歩いたのが始まりだそうだ。なにはともあれ、そのいちばんの特徴は、「平打ち熟成多加水麺」という太めの平たい縮れ麺。コシが強くモチモチしていて、一度食べたらやみつきに。なにせ人口5万人ほどの町に100軒以上のラーメン店があるというから驚き。とくにスープは店ごとに個性豊かな工夫を凝らしているので、お気に入りの一杯を探しにいくのも醍醐味だろう。
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さて、腹も落ち着いて散策してみるなら、四千棟余りあるといわれる蔵めぐりがよい。表通りはもちろん、裏路地から郊外集落まで、バリエーション豊かな蔵が見られるのが喜多方の特長。白壁、黒漆喰、粗壁、レンガなど、種類が多いということは、それだけ用途も多様だということ。こんなに蔵がたくさんある理由としては、明治の大火で蔵の耐火性が注目されたのも大きいが、「四十代で蔵もないのは男の恥」といわれるような喜多方文化の男のロマンが大きく影響しているようだ。
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町の中心からは離れるが、全ての屋敷に煉瓦蔵が建っているという三津谷集落も見逃せない。若菜家には、明治~大正の煉瓦蔵が4棟あり、3階建や蔵座敷もあり、農作業蔵は内部が見学もできる。
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また、「新宮熊野神社」の「長床」も、ぜひとも訪れてみたいスポット。拝殿として平安末期に建立されたものといわれ、44本の柱が支える壁のない吹き抜けの構造が面白い。樹齢800年の大イチョウが真っ黄に色づくころには、拝殿との見事なコラボレーションを見せてくれる。

「甲賀三大佛」巡りとご一緒にいかが! 名物料理とロケ地巡礼
<滋賀県甲賀市>

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三大仏のひとつ薬師如来坐像がある櫟野寺(らくやじ)から1kmほど南へ行くと、数々のメディアのロケ地としても有名な油日神社がある。最近ではNHK連続テレビ小説「わろてんか」や、テレビ朝日「必殺仕事人」の撮影も行なわれており、劇中のシーンを求めて訪れるファンも多いそうだ。

 

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ロケ地として使われるにはもちろん理由がある。1493(明応2)年の上棟とされる本殿や、永禄(1558~1570)年間の建立とされる楼門や回廊が、江戸時代以前からつづく景観をつくりだしているからである。樹齢750年を超える神木をはじめとする社叢林も含め、長い年月を経てようやく生みだせる空間は、かつての日本を表現する背景としてふさわしい場所なのだろう。

 

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aIMGP6346ロケ地としての興味はなくとも見るべきものは多い。霊峰油日岳の麓に鎮座する油日神社は877(元慶元)年には存在が記されている古い神社であり、一直線にならんだ本殿・拝殿・楼門 を廻廊で囲うような形状をした境内は、その建物の多くが国指定の重要文化財。廻廊に包まれた内部に立ち入ると、積み重なる年月と人々の願いが肌で感じられるようである。

 

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櫟野寺(らくやじ)の西方約3kmの位置にある錦茶屋は、甲賀市甲賀町で50年の歴史を刻む日本料理店だ。慶事・法事などの宴会ができる最大150名様収容の大広間も備え、地元に密着し愛され続けているのはもちろん、多くのメディアにも取り上げられる有名店でもある。

 

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一見では入りづらそうな感じがするが、実は嬉しいランチ営業もあり。本格的な日本料理をリーズナブルな価格で味わえるランチは、観光客でもふらっと立ち寄りやすい。昼からしっかり寿司や天ぷらというのも旅の醍醐味だが、地の物をいろいろ食べたいと思っているときに、甲賀名物「虎の巻(600円)」や「くの一巻(600円)」といった手軽なメニューがあるのも嬉しいところ。

 

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3~11月に訪れるなら「薬草ご膳」をぜひ。製薬や行動食に薬草を用いていたといわれる甲賀忍者にあやかり、甲賀の山々で積んだ薬草をふんだんに盛り込んだという御膳は、まさにここでしか食べられない錦茶屋名物。品数も豊富なので、土地のものを数多く味わえるのでオススメ。

 

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数多い料理の食材や薬効もしっかり教えてくれる。丁寧に料理の説明をしてくれる奥さまと勢いよく言葉を放つご主人どちらのお話も楽しい。また、タイミングがあえば、甲賀の昔話や近辺の見どころなども聞かせてくれるなど、店の格からは想像できない親しみやすさも錦茶屋の大きな魅力だ。

 

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ちょっとした休憩に便利なのが、丈六阿弥陀如来坐像の十楽寺と丈六釈迦如来坐像の大池寺をつなぐ国道一号線沿いにある「あいの土山」。ここは1993(平成5)年に滋賀県で最初に登録された道の駅で、休憩や特産品の購入ができるほか、東海道沿いという立地から歴史街道の情報発信基地としても機能している。

 

aIMGP6392物産では、地域の主要産物である「土山茶」はもちろん、地域のお米を使った商品も充実。人気という「竹の皮に包んだおむすび」や甲賀ブランド「黒影米(黒いもち米)」、そして黒影米を用いたレストランメニューなど、美味いと評判の甲賀の米を味わってみる良い機会になっている。

 

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気に入ったらお持ち帰り用の米も豊富に取り揃えられている。取材日は12月初旬ということもあり、様々な銘柄の新米が並べられていた。

 

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また、ぜひ挑戦して頂きたいのが「分身の術」の顔出しパネル。7カ所も穴があいているので、人数を揃えるだけでも大変だが、このスペースで7人が顔を出すとなると姿勢制御もかなり難しいはず。上手いこと撮影ができたら、SNSで称賛されるのではないだろうか。

 

 

苦しみのない世界へ導く釈迦如来と幽雅流麗な枯山水庭園
<滋賀県甲賀市>

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十楽寺(じゅうらくじ)から約18km、車で30分ほど(櫟野寺(らくやじ)からも同程度)国道一号線を北西へ走ると、蓬莱庭園で有名な臨済宗・大池寺(だいちじ)がある。

 

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大池寺のはじまりは、742(天平14)年に高僧・行基菩薩によって心字池(しんじいけ)が掘られ、その中央に建てられた寺とされ、宗派や建造物の変遷を経ながらもこの地にありつづけたという。甲賀三大佛のひとつである丈六坐像の釈迦仏は、同時期に行基菩薩が一刀三礼(一回のみを入れる度に三回礼拝)して彫ったといわれ、戦国時代に境内が焼失したさいも焼け残り、その後の再興に繋がっているそうだ。

 

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釈迦如来仏は像高約八丈(約2.4m)。1.5mの台座の上に乗せられているうえ、直径2メートルほどの光輪を合わせると、トータルで5メートルにも及ぶ高さ。近くによると見上げる形になる。現代の仏師の見解によると、片眼だけで約3500回のノミ入れが必要とのこと。この大きさを手彫りで作られたことを思うと、ますますありがたみを感じられるのではないだろうか。

 

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大池寺はさらに美しい庭園を鑑賞できる楽しみもある。「蓬莱庭園」は、江戸時代初頭に水口城を築城した小堀遠州(こぼりえんしゅう)が作庭したと伝えられ、約400年も大池寺で守り続けられてきた鑑賞式枯山水庭園。形だけでなく作庭の意匠もいまに伝わっており、庭園の味わいかたも教えてくれる。

 

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例えば、庭園の奥に刈り込まれたサツキは大波・小波を、水面に見立てた白砂の上の刈り込みは宝船を表現しているという。大海原のなかすすむ一隻の宝船が描かれた庭は、四季のうつろいと融和しながらその表情を変え、訪問者をいつも楽しませてくれるのだ。

 

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事前に希望すれば庭を見ながらお抹茶とお菓子を頂くこともできる(NGの日時あり)。最近の訪日観光ブームもあり、取材時も中国から訪れた団体がご参拝しお茶と庭を味わっていた。

 

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5年前(2013年)に発足した「甲賀三大佛」巡りは、過去・現在・未来の平安を願う「安心(あんじん)参り」であるが、その過程には地域の名所・名物や人々と触れ合える場所も多い。三大佛を回るだけなら3時間程度で済むが、せっかくなら寄り道をしながらたっぷり旅を楽しんではいかがだろう。無数にあるという「仏の縁」を感じられるかもしれない。

 

つづく

 

※取材協力:びわこビジターズビューロー

極楽浄土へ導く2体の阿弥陀如来と脇から釈迦が顔を出す摩耶夫人像
<滋賀県甲賀市>

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甲賀市のパワースポットとしても有名な浄土宗・十楽寺は、櫟野寺(らくやじ)から車で15分ほど走った国道一号線沿いにある。そもそも甲賀三大佛のお参りルートは、十楽寺の住職のアイデアからスタートしたという。

 

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甲賀市は2004(平成16)年に5つの町が合併してできたのだが、やはり旧地域ごとの思い入れが強くなかなか一体感が生まれなかったという。それを残念に思った住職が、合併により珍しい丈六仏が3体も同じ市内にあることに着目。櫟野寺・大池寺のご住職に相談したところ、まずは自分たちで旧市町村も宗派も越えて協力しようと投合したそうだ。その後、地域の方々や行政の協力もあって「甲賀三大佛」として結実。2013(平成25)年11月の発足式も十楽寺で行われている。

 

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aIMGP6368そんな十楽寺のご本尊は、日本最大級の丈六阿弥陀如来坐像。350年ほど前に造られた寄木造りの大仏で、堂々たる像高は278㎝。極楽浄土に導いてくれるといわれる阿弥陀如来は、たとえ悪行を行なった者でも救ってくださるという慈悲深い仏さまである。

 

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ちなみ十楽寺は天台宗のお寺として創建され、織田信長に焼き討たれたのち浄土宗になったという経歴を持つお寺で、天台宗の時から続く阿弥陀如来坐像もご本尊(写真左側)とされている。ご本尊が二体あることから、院号を二尊院とされたそうだ。

 

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また、室町時代につくられたとされる摩耶夫人像も見どころのひとつ。お釈迦様が生まれる瞬間を表した像であるが、通常は袖口から現われる場合がほとんどとのこと。しかし、十楽寺の像では右腋から合掌するお釈迦様が顔を覗かせており、この形をしているものは全国で2体しかないという。

 

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他にも裸体の阿弥陀如来像など、珍しい寺宝がみられる十楽寺だが、もっともありがたいのは由来や像の解説などをお寺の方がなさってくれること。ただ、見ているだけでは分からない特徴や意味などをしっかりと教えていただけるので、充実した時間が過ごせるだろう。

 

つづく

 

※取材協力:びわこビジターズビューロー

現代の苦悩を除く薬師如来と日本最大の十一面観音坐像
<滋賀県甲賀市>

滋賀県甲賀市は甲賀流忍者で知られている町だが、その忍者の陰に忍んでいた名所があるのをご存知だろうか? 平安時代から密教の霊場として栄えたこの地域は、千年を超す年月を地域とともに過ごしてきた名刹・古刹が数多くあり、そこに納められた仏像ともども文化財の宝庫なのである。

 

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なかでも近年になって脚光を浴びているのが櫟野寺(らくやじ)、十楽寺(じゅうらくじ)、大池寺(だいちじ)が所蔵する丈六仏。丈六とは仏様の身長とされる1丈6尺(約4.8m)のサイズ(坐像の場合は半分の2.4m)を指し、これより大きなサイズの仏像が大仏と呼ばれるそうだ。そのような丈六仏が甲賀市に3体あったことから、「甲賀三大佛」と名づけられ新名所となったのである。甲賀三大佛巡りは、心の安らぎを得られる「安心(あんじん)参り」でありながら、観光のルートとしても見どころが多い。

 

a櫟野寺本堂※取材時は修繕工事中のため、公開時は写真と異なる場合があります。 

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三大仏の一体が鎮座する櫟野寺は、甲賀地域において天台宗比叡山延暦寺の拠点としての役割を担っていたとされる。そのため、平安時代からの古物が数多く伝わっており、20体以上の重要文化財が安置されている独自の宝物殿まである。平成28年9月13日から29年1月9日まで東京国立博物館で開催された特別展「平安の秘仏」は、櫟野寺の単独展であるにもかかわらず20万人以上が訪れている。

 

a薬師如来坐像(櫟野寺)

そんな櫟野寺にある丈六仏は、現世において心身の病を除いてくれるとされる「薬師如来坐像」。薬師如来は医薬を司る仏で、手に薬つぼを持っているのが特徴。現世の心身の病を除いてくれる仏さまだという。甲賀三大佛のなかでは最も小さい像高2.2mであるが、中国の周時代の尺はいささか短くその単位で造られた丈六仏となるそうである。

 

a櫟野寺十一面観音坐像

もう一つ見逃せないのは、櫟野寺のご本尊である「十一面観音坐像」。比叡山開祖の最澄法人が櫟(いちい)の巨木に霊夢を感じ一刀三礼のもと立木に刻まれたと伝わり、限られた期間しか拝むことができない秘仏。先に述べた「平安の秘仏」展においてもメインビジュアルを飾られ、多くの人々を会場へと導いている。しかも今年(2018年)は33年に一度のご縁を結ぶ年にあたり、10月6日~12月9日の期間行われる大開帳は訪問するまたとない機会だ。

 

a櫟野寺収蔵庫入口

重厚な扉の奥に納められた「十一面観音坐像」が大開帳で姿をみせるとき、約80年ぶりに櫟野寺所蔵の仏像群が一堂に揃うという。いまこの記事を読むあなたは、一生に一度あるかないかのご縁とすでに結ばれているのかもしれない。

 

 

つづく

 

※取材協力ならびに画像提供(1・3枚目を除く):びわこビジターズビューロー

高岡の古い町並み。「山町筋」と「金屋町」を歩こう!
<富山県高岡市>

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高岡の観光スポットで有名である「高岡城跡」や「瑞龍寺」もよいが、「山町筋」や「金屋町」の古い町も訪れたい場所。こちらは山町筋。漆喰壁を有する重厚な土蔵造りの商家が立ち並んでいる。暗い色の建物ばかりに感じるが、富山銀行をはじめとする洋風建物もいくつか見られる。和と洋が混在する重伝建地区である。

 

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江戸時代より鉄や銅を使った鋳物が盛んであったことから、山町筋の商家には柱が鋳物の鉄柱であったりする。この「菅谷家」の軒を支える柱も鋳物である。菅谷家は北海道との通商で財を築き、1889年には高岡銀行を設立。その後、政界にも進出し高岡政財界の中心的な存在として活躍した。防火壁の右に見えるあみだくじのような模様は「源氏香の図(げんじこうのず)」と呼ばれ、芸術性の高さから古くより着物や帯の文様に使われてきた図柄だそうだ。菅谷家住宅は1994年、国の重要文化財に指定されている。

 

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「日本遺産(JapanHeritage)」の構成文化財である高岡御車山祭。高岡御車山会館は、その祭の主役である「御車山」を通年展示する施設だ。山車に凝縮された伝統工芸技術や御車山を守り続けてきた地域文化の紹介やワークショップを展開している。また、シアターでは、233インチ大型スクリーンで御車山祭を「神の座」からの視点も交えながら追体験できる。

 

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御車山はもちろん、漆工・金工・染織の分野ごとの工芸技術も展示されていた。ひときわ目立っていたのが木舟町の旧鉾留である「胡蝶」。鉾留とは鉾(心柱)の先端に付けられている装飾で、神様が降臨する際の目印とされている。桐を使用し、漆塗り、金箔押しをした後、全面に二枚重ねの金箔で固めて仕上げている。高さ約147㎝もある贅をつくした鉾留だ。

 

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「山町筋」の散策を終え金屋町に移動。金屋緑地公園付近の趣ある路地を通り、古い町並みへ向かう。

 

千本格子の家並みと石畳が相まって、美しい佇まいをみせていた「金屋町」。この地域では1987年に「金屋町まちづくり憲章」を定め、まちづくりに取り組んでいる。1989年より無電柱化や路面の整備が行われ、御影石を使った道路には銅が散りばめられている。そして2012年、鋳物師町としては全国初の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

 

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「高岡市鋳物資料館」は高岡鋳物発祥の地を知るうえで重要な施設だ。無料コーナーと有料コーナーに分かれており、無料コーナーでは製造に必要な道具が展示されており、実際に体験することができる。資料館が所蔵している約1,561点の史料は2011年、国の登録有形民俗文化財に登録されている。

 

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金屋町では2005年に公開された日本映画「8月のクリスマス(主演:山崎まさよし)」のロケーション撮影が行われた。この建物は、主人公が営む写真館として撮影に使用された。約2年数ヶ月間「8月のクリスマス記念館」として、映画で使用された衣装などが一般公開されたが2008年に閉館。現在は金属工芸工房「坩堝(かんか)」がオープンしている。開館中は、全国から多くのファンが訪れたそうだ。

 

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鋳物を製造する際は火を扱うため、万全な防火対策が必要であった。金屋町では表通りから母屋、中庭、土蔵、鋳物工場の順で建てられている家屋が多い。これは火災が発生した場合、母屋への延焼を防ぐためである。このような路地は表通りから奥に建てられた鋳物工場への往来を便利にするために造られたのか。何気ない路地を通して、その土地ならではの生活を垣間見たように思えた。