さよなら、はな子。そして74年目の井の頭自然文化園
〈東京都三鷹市/武蔵野市〉

井の頭自然文化園は、開園から74年目になる都の動物園です。動物園(本園)の場所は吉祥寺通りを挟んで井の頭恩賜公園の向かいに位置しており、恩賜公園内にある水生物館(分園)とも離れています。今年の5月26日には長らくこの動物園の「顔」でもあったアジアゾウの「はな子」が69歳でその生涯を閉じ、大きなニュースにもなりました。ちなみに69歳は国内のアジアゾウでは最高齢の記録となっています。
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「はな子」が亡くなった後の空の象舎には、はな子の還暦の頃に作られた、大きな「はな子」のポートレート(等身大)が飾られています。美しく凛々しく、やさしげな表情をたたえた「はな子」の肖像。おそらくベストショットではないでしょうか。
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「おつかれさま。はな子。長い間どうもありがとう。」と多くの人が心の中で呼びかけているような献花の数々。ひとりひとりの胸の中に「はな子」の思い出が大切にしまわれています。
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「はな子」の人生は、最初から波乱の連続でした。それこそ「はな子」にとって絶体絶命とも言えるピンチにも見舞われます。しかし、それらを救った1人の飼育員がいました。30年間「はな子」に尽くして親身に世話をしてきた故・山川清蔵さんです。息子の宏治さんが書いた「父が愛したゾウのはな子」には、そんな清蔵氏と親子2代で計40年間もの間「はな子」を支え続けてきた裏話がつづられており、「はな子」のことを深く知るには良い一冊です。IMG_5599r
話変わって、この動物園には古くから「スポーツランド」と呼ばれる小さな遊園地があるのをご存知ですか。遊園地としてはかなり控え目?とも言えるこの場所は自然文化園が開園した11年後の1953年に開設されました。この施設にも、じつは近隣の住民以外にはあまり知られていない歴史があります。(写真は現在稼働中のメリーゴーランド)
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現在はもうなくなってしまった観覧車も1995年の2月(写真)にはまだありました。高さ約10mで観覧席が9基と小型でしたが、当時は園内の木々もまだ低く、周囲の都市開発も今ほど進んでいなかったため、低さの割には見晴らしは良好でした。この観覧車の最頂部から当時まだ吉祥寺にあった「名店会館(現在の東急がある場所にあった商業ビル)」がよく見えたという逸話もあります。
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上は現在ある「スカイバスケット」という乗り物です。見た目などは、昔からあまり変わっていない印象を受けますが、その頃の雰囲気を写真で見てみると・・
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似て否なり、という感じの写真です。木製の台座にはノスタルジーさえ感じます。お母さんたちの髪型やファッションなどもいい感じです。ところが実はこれが・・
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「上野こども遊園地」に移設されてまだ使われていたことが判明。写真は、その上野に現在もある「飛行船」です。基本の骨組などを見比べてみると確かに同じものとわかります。
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これら有益な情報と過去の貴重な写真をわざわざ見せてくださったのは、この園の場長の村上さん。いろいろな質問にも親切に答えてくださり、たいへん助かりました。
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こちらも人気のあったフラワーカップの乗り物。同じく取り壊されましたが、じつはこれも・・
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なんと、ご覧の通り、完全になくなってしまうのを惜しむ声があったため、カップの1つが新幹線乗り場の中心部に現在も記念として飾られているのです。さすが地元で四世代の家族に愛されながら利用されてきた園は、やることも違います。
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また園内には全部で200種類を超える動物たちもいます。「リスの小径」と「モルモットふれあいコーナー」はどちらも間近で可愛いリスやモルモットに触れあえる子どもたちにも人気の場所。カピバラは、その風貌から“癒し系”と言われており仕事で疲れギミのOLさんたちにも人気。アカゲザルの猿山はこの園の中では「はな子」の象舎と並び、昔からずっと変わらない場所で、子ども時代からこの園に親しんでいる人にとっては、おそらくホームベースのような場所です。
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ほかにも、最近では絶滅危惧種で特別天然記念物でもある「ツシマヤマネコ」の保護増殖にも協力しています(公開時には見ることもできます)。また、目にも涼しげなプールに囲まれたペンギンや、ふさふさした毛が可愛いアカギツネ、表情に愛嬌のあるヤギたちなどもいます。
水生物まとめ
分園の水生植物園には、今年タンチョウヅルの赤ちゃんが生まれ話題となっています。また、山奥にしか生息せず、ここ以外では滅多に見ることのできない珍しいヤマセミもいます。世界最大の両生類で日本にしか生息していない特別天然記念物のオオサンショウウオは、長命ですがこの園では諸事情で数回入れ替わっており、現在いるのは、2002年に広島市安佐動物公園からやってきたまだ若い個体です。
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本園の奥にある彫刻園は木立に囲まれ、夏でもひんやりと涼しく感じられる場所です。館内には、日本を代表する彫刻家の一人で「長崎平和記念像」で知られる北村西望の作品200点以上が展示されています。静かに落ち着いて過ごしたい、そんな気分の時にもぴったりの施設です。
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帰りは、いまや吉祥寺で1番人気(?)のハモニカ横丁へ。こちらも戦後の闇市から続いた横丁の面影をいまだに色濃く残す、住民にとっては心の拠り所でもある大切なエリアです。
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そのハモニカ横丁の和菓子の老舗「いせ桜」でも、ゾウの「はな子」の訃報を伝えていました。今年は「はな子」の大好物だったこの店の黒糖まんじゅう入りのバースデーケーキで、3月21日に69歳の誕生日を祝うはずでしたが、はな子の体調が悪く、誕生会は中止となりました。
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この「いせ桜」も新宿で創業して以来120年目。このハモニカ横丁に移ってからもすでに60年目という古株です。「はな子」の好物だったという黒糖まんじゅうをさっそく買っていただきましたが、甘くて、そして(はな子を思いながら食べたので)少ししょっぱい味がしました。
 
写真:乃梨花

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乃梨花(「町旅」女子部)

ひとり暮らしの猫飼い人ゆえの
ショートトリップ派
(➕日本酒党❤️)

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