来年(2017)開園100周年!地元目線の井の頭案内(井の頭恩賜公園)
〈東京都三鷹市/武蔵野市〉

井の頭恩賜公園は、大正6年(1917年)に日本最初の郊外公園として開園しました。公園の中央に位置する井の頭池は、春にはおおぜいの花見客が訪れる「サクラの名所」としても、いまやすっかりおなじみ。毎年の住みたい街ランキングで、吉祥寺がつねに上位ランクに選ばれる理由にも、この井の頭の公園の存在は欠かせません。今回はそんな井の頭恩賜公園の魅力を生まれも育ちも浜っ子ならぬジョージっ子(?)な目線で紹介したいと思います。
IMG_5469r
まずは、この池の中央にかかる七井橋から見てみましょう。そこから見える「いつもの景色」と言えば、この地域の人々にとっては、対岸に見える3棟の白い高層マンション群だったりもします。1968年の竣工当時には、景観を壊すとの理由で反対の声も上がったそうですが、いまでは逆に「そこになければ井の頭公園とはいえない?」ほどのランドマークになりました。余談ですが、女優の小泉今日子や宮沢りえが演じた「グーグーだって猫である」の原作者であり主人公のモデルでもある漫画家の大島弓子がグーグーとはじめに暮らしていたのもこのマンションでした。
IMG_8198r
この七井橋の中ほどに、休日にはいつも賑わう人気のボート乗り場があります。ボートの種類は現在、スワン・手漕ぎ・サイクルの3種類がありますが、やはり人気はスワンです。ちなみに吉祥寺を舞台にした昭和の懐かしのドラマ「俺たちの旅」でもこの池のボートが映る場面がありますが、この時代にはまだ公園のボートは、手漕ぎボート“だけ”でした。
IMG_8028r
女性や子ども達に人気の高いスワンボート。休日には、もちろん全機がフル出動です。このスワンボートの中に1基だけ「男の子(男前)」が含まれているのをご存知ですか?ラッキーアイテムなので、じつはヒソカな人気です。(顔で見分けがつくので、ぜひ探してみてください。)
IMG_8048r
いっぽう、歴史ファンにとっては何をおいても?この公園では「弁財天」です。その歴史は古く、縁起によると天慶年間(938~946)の創建と伝えられており、源頼朝が戦の時にはここで戦勝を祈願したとも言い伝えられています。その後焼失しましたが、三代将軍家光の命により寛永13年(1636)に再建されたといいます。「井の頭」の名称も家光が辛夷(こぶし)の木に小刀で井頭と刻んだことに由来するという内容が現在も石碑で残っています。
IMG_8062
そもそも井の頭池は、古くから涸れることのない豊かな湧水で知られ、江戸に入った徳川家康の命により、江戸城内の飲料水のための上水道「神田上水」の取水口となりました。その神田上水源の水神であり、音楽や芸能の守護神でもある弁財天は江戸町人に盛んに信仰されて、参詣者は江戸市中から絶え間なくやって来ていた、と言われています。IMG_8058r
弁財天といえば、銭洗い弁財天を連想する人も多いかもしれません。鎌倉や江ノ島のに比べると、かなりこじんまりとしていますが、本堂の裏にありますので、ぜひお試しを。一般的には、お金を洗うと財産が増えると言われています。
IMG_5766
弁財天から少し離れたところにある【お茶の水の由来】の立て札です。「その昔、当地方へ狩に来た徳川家康がこの湧き水の良質を愛してよくお茶をたてました。以来この水はお茶の水と呼ばれています。」と書かれています。
IMG_8099r
お茶の水の湧き水口だった石井筒には、現在でも豊富な量の水が流れ出ていますが、これは残念ながら現在は湧き水ではなく人工的に流している水とのことです。50年ほど前までには自然の湧き水がまだ豊富に湧き出て飲むことも出来た井の頭の湧き水も、都市化により地下水位が下がるなどして渇水状態となってしまいました。現在は地下水をポンプで汲み上げて流しています。
IMG_5515
公園内にある茶店(ちゃみせ)です。公園内には全部で4つの茶店(ちゃみせ)がありますが、その中でも一番古い「井泉亭」の創業は、なんと江戸幕末の頃。広重の「名所雪月花・井の頭の池 弁財天の社雪の景」が描かれた時にはすでにこの場所にあったという話ですから驚きです。この店には当時三鷹に住んでいた太宰治もよく訪れ、甘酒を好んで飲んでいたそうです。
IMG_5706
井泉亭のほかにも公園内には「明水亭(昭和初期創業)」「松月(昭和18年創業)」「水月(大正6年創業)」の3つの茶店があります。こちらの「おでん定食」は松月のもの。井泉亭や他と同じく、こちらも変わらない味(肩のこらないふつうの味)と親しみやすい雰囲気(短パンにサンダルでも入れそう?)で、ホッと息をつけるところが変わらぬ人気の理由かもしれません。
IMG_8144
この公園の池はエリアによって、井の頭池、弁天池、御茶の水池の3つに分かれており、上は弁財天の方角に向かって御茶の水池を眺めたところです。井の頭の池は、昭和62年以来に大ぜいのボランティアの力を借りて始めた「かいぼり」が今年やっと終了したところです。池の水がきれいになって、早くも地底に残っていた種子から水草が生えてきたのがわかります。
IMG_5736
対岸からの景色。「かいぼり効果」で水がきれいになったせいか、眺めもこれまでより美しくなりました。
IMG_8103
お茶の水の立て札のすぐ後ろにある橋。一見、石を積み上げて作った橋にも見えますが、最近になってから表だけを石積みふうに化粧したものです。風情が増して良い感じになりました。
IMG_8122
公園は一周が約1.6km。のんびり歩いても飽きずに疲れない、ちょうど良い長さです。
IMG_5486
歩いていると、こんな風景にも出会います。ひっそりとした東屋(あずまや)ふうの離れ。
IMG_5464r
この公園は、池のまわりにベンチが多いので使い勝手が良いのも人気の理由です。ゆっくりと池を眺めたり、読書をしたり、ピクニックにと思い思いに過ごせます。
IMG_5513
公園の北側のベンチは、周回路からやや離れているため、読書などを落ち着いてするには、最適のエリア。じっさいに読書をしている人をよく見かけます。
IMG_5463
公園口に近い、もう1つの公園の名所といえば、野外ステージ前広場です。少女漫画の傑作「ガラスの仮面」や薬師丸ひろ子出演の映画「Wの悲劇」にもこの野外ステージが登場しています。条例(騒音など)の取り締まりがまだユルい時代には、ステージ上では多くのパフォーマンスやライブが自由奔放に繰り広げられていたという目撃談も数多くあります。
IMG_8175
公園の鴨も人慣れしているせいか?まったく動じず逃げません。
IMG_5485
3つの池の残りの1つ。弁天池にかかる弁天橋から弁財天を望んだ風景です。この橋を渡りきった所からも、自然文化園の水生物園へ入れます。週末ならば、こちらの池面にはボートはなく静かなので、落ち着いて過ごしたい人にとっては、こちらがおすすめです。
 
写真:乃梨花

INFORMATION

地図

レポーター

乃梨花(「町旅」女子部)

ひとり暮らしの猫飼い人ゆえの
ショートトリップ派
(➕日本酒党❤️)

関連タグ

関連記事

エリア

(Categories)

タグ

(Keywords)

すべてのタグを見る

おすすめ記事