近代日本のシルクロードを辿る⑦

日本三大車窓から望む! 棚田と名月の里「姨捨(おばすて)」
〈長野県千曲市〉

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1347枚の水田からなる姨捨の棚田です。姨捨(おばすて)は姨捨山で有名な棄老伝説からくる地名。映画の題材にもなりました。地名とは裏腹に国の名勝で重要文化的景観にも選ばれています。棚田近くの長楽寺から眺めると水を張った棚田ごとに月が映りこむことから「田毎(たごと)の月」と呼ばれ、国内有数の名月観賞スポットとしても有名です。写真の季節は夏。田んぼに水をたたえた春先とは、また違う趣きがあります。
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根室本線の狩勝峠(北海道)、肥薩線の矢岳越え(九州)と並んで、日本三大車窓に数えられる姨捨へは、長野県の篠ノ井駅から塩尻駅までを結ぶ篠ノ井線を利用します。姨捨駅を通過する列車の車窓からは、棚田を介して善光寺平を一望する、スケールの大きな風景が見られます。
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姨捨棚田に行く途中の山のふもとのところに重要伝統的建造物群保存地区にも指定された稲荷山地区があります。江戸期には、善光寺西街道(北国西街道)の最大の宿場町として栄えてきた歴史があり、そのあと明治期になると、繭や生糸の集散地として重要な役割を担うようになりました。
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明治以降は、絹織物と生糸の商いでも財を蓄え、多くの織物商人たちがこのような立派な土蔵を築きました。写真は、このあたりで最も立派な土蔵を持っている山丹という店。現代の「社長の家(豪華な家の喩え)」は当時はおそらくこのような家を指したのでしょうね。土蔵造りになる以前、江戸時代には、ここは全部まだ茅葺きの家でした。
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昔、料亭だった建物もまだ残っています。料亭跡です。土蔵もあります。この町の建物の屋根の勾配がきついのは、1847年に善光寺地震があった際に稲荷山でも大火が起こり、その時に全部耐火性の強い土蔵造りに変えたためです。観光資源として、また美的景観として、現代の多くの日本人や外国人観光客を魅了する美しい茅葺きの家は、残念ながら「火事に弱い」というのが弱点のようです。
 
写真:米山淳一

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