近代日本のシルクロードを辿る⑬


意表をついた展示でも人気
蚕糸博物館の気になるその中味とは?
〈長野県岡谷市〉

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岡谷蚕糸博物館は、明治時代のはじめに導入した製糸機械によって一大製糸業地に発展し、富岡と並んで日本の製糸業の牽引役を果たしてきた長野県岡谷市が、歴史と貢献を後世に伝えるために1963年に開館しました。2014年に移転してリニューアル。きれいで見やすいと旅行者にも評判です。
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富岡製糸場で、和田英も使っていたのと同じ当時使用された300台のフランス式繰糸機(そうしき)のうち、世界でも現存している最後の2台が、現在こちらで保管・展示されています。繰糸鍋や繰糸台、ひしゃくなどは胴や真鍮製、車は鉄製で、当時はたいへん高価なものでした。現在見ても鑑賞に値する美しい骨董品のような趣きです。119-19
また、この博物館の最大の面白さは、なんといっても宮坂製糸所という本物の製糸工場が地下に入っていて、じっさいにそこで稼働していることでしょう。言ってみれば、生糸の生産工程をナマで動態展示しているわけです。しかも、伝統的な生糸の生産方式が系統的に残されている日本で唯一の製糸工場となったために、歴史資料館的な役割も同時に担っているのです。ここではたらく工員の皆さんはもちろんプロの職人さん。小さな箒のような道具を使って、またたく間に繭から糸を取り出す様子は巧みで、見飽きることがありません。
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こちらで展示されている蚕の種類の見本です。じつは蚕とひと口に言っても種類はこんなに豊富。欧州産や中国産、国産まで、色もサイズもカタチもさまざまです。右上のきれいな緑色のものは、天蚕(てんさん)と言って日本の野山に生息する現在ではたいへん稀少な野生の蚕です。この天蚕は、天皇家の歴代の皇后陛下(昭憲皇后陛下以降)が引き継がれている御養蚕でお飼いになられていることでも有名で、その稀少性ゆえ「繊維のダイヤモンド」と言われるほど高価です。
 
写真:米山淳一

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