巨大なアーケード商店街の先は江戸時代から煙草の生産地
〈徳島県三好市〉

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「うだつが上がる」とは、昔から出世した証に使われることでよく知られた表現だ。 吉野川沿いに発展した町には、「うだつ」をそなえた町家が多く見られる。この町が発展した理由は刻みたばこの製造だ。江戸後期から1979(昭和5)年頃までの長きにわたって、近隣の農村で栽培された葉タバコの加工をしていたのである。
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阿波池田駅に降り立って驚くのは、大きな屋根を架けたアーケードの商店街が駅前から真っ直ぐに伸びていることだ。人、車、バスまで通るアーケードはなかなかお目にかかれない。アーケードを抜けた突き当たりを右に折れた本町通りに、通称「うだつ通り」はある。
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通りの目玉は「阿波池田たばこ資料館」だ。かつて特産の「阿波刻みたばこ」を製造していた明治期の町家で、立派なうだつが目を引く。現在は三好市が所有しており、「阿波池田うだつの家」と銘打って、資料館のほか市民の交流施設として活用されている。
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資料館ではかつての作業場である土蔵造りの建物を使い、製造工程や製品の輸送、作業機械など、一連のさまざまな展示がなされている。胸をはだけた女が煙管で刻みたばこを吹かす歌麿の浮世絵の写しまで展示され、古くからたばこが生活文化として根付いていたようすを実感できる。
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もうひとつの注目は品物の輸送に用いられた吉野川の舟運である。平田船と呼ばれる帆船で川を下り徳島に向かい、大阪方面や北前船に乗せ換えて各地へ運ばれていった。平田船は独特の形をした帆船で、民家の棟瓦の装飾にその姿を今でも見ることができる。町に富をもたらす吉野川舟運のシンボル的存在なのかもしれない。
 
写真:米山淳一

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レポーター

米山 淳一〔よねやま じゅんいち〕

獨協大学外国学部英語学科卒業。岸信介事務所を経て、75 年(財)観光資源保護財団(現(財)日本ナショナルトラスト)入所。事業課長、事務局長を経て、06 年退職。現在は母校の獨協大学等で講義を行うほか、地域遺産プロデューサーとして全国で歴史を活かしたまちづくりプロジェクトを推進。現在、公益社団法人横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)常務理事・事務局長

一般社団法人 日本茅葺文化協会理事
一般財団法人 茶道宗偏流不審庵理事
日本鉄道保存協会事務局長
東映株式会社「大鉄道博覧会」企画プロデューサー
一般財団法人 東武博物館アドバイザー ほか


【著書】
●歴史鉄道 酔余の町並み(駒草出版)
  http://komakusa-pub.shop-pro.jp/?pid=61024099
●続・歴史鉄道 酔余の町並み〈2016年2月1日発売〉(駒草出版)
●写真集「光り輝く特急「とき」の時代」(駒草出版)
◎「地域遺産みんなと奮戦記」(学芸出版)
◎「歩きたい歴史の町並」 文 米山淳一 写真 森田隆敏(JTBパブリッシング)

http://www.j-yoneyama.jp/

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