山手西洋館めぐり#02 山手111番館
〈神奈川県横浜市〉

イギリス館の南側、噴水広場を挟んで立っている赤い瓦の屋根と白い壁が印象に残るスパニッシュスタイルの洋館が、山手111番館です。大正15年、アメリカ人の両替商J・E・ラフィンの住宅として建築されました。
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ここは、ベーリックホールを設計したのと同じ建築家、アメリカ人のJ.H.モーガンによる設計です。どちらも玄関前に3連アーチの同じ意匠が見られますが、こちらは天井ではなくパーゴラ(つたや植物を絡ませて作る棚)であるため、とりわけ新緑の季節などには印象が異なってきます。地階はコンクリート、地上が木造2階建の寄棟作りの建築です。
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建物の中に入ると、まず最初に四角い開放感のある吹き抜けのホールに出ます。2階には回廊がぐるっと一周巡らされています(残念ながら老朽化のため一般の人は現在は入れません)。向かって正面のところには年代物の重厚な木製のマントルピースとタイル貼りの暖炉があり、よく見ると暖炉の上の置時計を中心に部屋がシンメトリーの構造になっていることに気づきます。正面の外観も同じく左右対称なので、設計コンセプトにも関連していそうです。
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頭上を見上げるとうっとりするほど美しいシャンデリアが目に入ります。モーガンの作品は穏健華麗な欧米風の建築様式と表現されますが、穏健華麗というのがこのホールにも当てはまっているので、「言い得て妙」とうなづきました。あたたか味がある華麗さ、と言い換えてもいいかもしれません。
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ホールの奥はダイニングルームです。壁を覆う羽目板と、天井に張りめぐらされた太い格子、またホールと背中合わせに配置された、天井までの高さの重厚な仕立ての暖炉とが合わさって、落ち着いた中にもどっしりとした威容ある佇まいになっています。
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バスルームは、古い映画にでも出てきそうなヌーヴェルバーグ風(?)なおしゃれな雰囲気でした。ここだけはなんとなく?スパニッシュスタイルというよりは、フレンチスタイルを感じさせます。いまにも影から美しい女優さんが画面に登場しそうな、そんな雰囲気でした。
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邸内の照明は、どれもがほんとうに素晴らしいので、ひとつひとつに、つい見入ってしまいます。
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お店でもなかなか見ることのできない、かわいすぎるペンダンドライトを発見!
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これと似たような照明は今もありますが、それらが「レプリカ」に見えてしまうほど、質感がより上品なのが写真からも見てわかるでしょうか?色味の加減も光のやわらかさも、よりなめらかで上質な感じです。
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建物は傾斜地を利用して建てられているため、正面からは2階建に見えますが、背後へ廻ると地階が現れて3階建に変わるのが、一見だまし絵(?)のようです。創建当時は、地階部分にはガレージや使用人部屋を配していたそうですが、いまはテラスが設けられ、バラの季節には正面の「ローズガーデン」が一望できます。また現在は地階はカフェ「えの木てい」も営業しているので、初夏にバラの溢れる庭を眺めながら、お茶を飲んでゆっくり過ごすのもいいかもしれませんね。
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庭に設けられたパティオも素敵です。
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建物正面から裏手に通じる庭の側面の小道にも、パティオが。現在は使われていないようですが、おそらく初めは噴水(獅子の口から水が湧き出て、下に流れ落ちるタイプ)として使用されていただろう「名残り」がうっすらと見受けられます。
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石造りの獅子のレリーフのアップ。風格と味わいがあります。
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古い建築が好きな人には、時代を経てきたレンガの風合いもまた魅力のようです。
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同じく歳月を経てきた木製の緑のドアと石壁。石壁のパテでつけられたアクセントの上に木立が陰影を落とす様子は、日本ではなくどこか遠い外国の避暑地のようです。
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旧ラフィン邸から立ち去り間際にうしろを振り返ると、そこにも美しい景観が見えました。
 
写真:乃梨花

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レポーター

乃梨花(「町旅」女子部)

ひとり暮らしの猫飼い人ゆえの
ショートトリップ派
(➕日本酒党❤️)

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