洒落た劇場とうだつの町家が交わる、
かっての交通の要衝
<徳島県美馬市>

江戸中期より藍や繭で栄えた脇町は、吉野川の水運を利用した積出し港として栄えた。家運の隆盛を顕示する象徴の「うだつ」が数多く残り、「うだつの町並み」の通称で呼ばれることも多い。
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かっては交通の要衝として繁栄した脇町であるが、いまは近くに鉄道の駅はない。穴吹駅で下車してバスに乗り換えて向かうことになる。バスはうだつの町並みに横付けの形で、道の駅「藍ランドうだつ」の駐車場に停車する。駐車場からうだつの町へのアプローチは、物資の上げおろしに使われた石積みの細いスロープをたどるとよい。特に吉田家住宅の藍蔵に通ずる石積みのスロープは一押しである。まさに川から上陸する気分で、うだつをそなえた町家が続く通りに到達することができるからだ。気がつくと、緑の山並みを背景にずらりと連なるうだつの町並みの真っただ中に立っている。
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どの町家にも漆喰で塗り籠めて瓦屋根を載せた、重厚なうだつが上がっている。袖壁とも呼ばれ、実は防火の役目を果たしているのだ。それらが連続する町並み景観は見事であり、脇町ならではの独特の歴史的景観を形成している。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているのもうなずける。
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大谷川沿いでは、しゃれたデザインの脇町劇場「オデオン座」が異彩を放つ。1934(昭和9)年に芝居劇場と映画館を兼ねた交流施設として建設され、山田洋次監督の松竹映画『虹をつかむ男』にも登場した。平成11年6月に修復が完成し、町指定文化財として一般公開されている。
 
写真:米山淳一

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レポーター

米山 淳一〔よねやま じゅんいち〕

獨協大学外国学部英語学科卒業。岸信介事務所を経て、75 年(財)観光資源保護財団(現(財)日本ナショナルトラスト)入所。事業課長、事務局長を経て、06 年退職。現在は母校の獨協大学等で講義を行うほか、地域遺産プロデューサーとして全国で歴史を活かしたまちづくりプロジェクトを推進。現在、公益社団法人横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)常務理事・事務局長

一般社団法人 日本茅葺文化協会理事
一般財団法人 茶道宗偏流不審庵理事
日本鉄道保存協会事務局長
東映株式会社「大鉄道博覧会」企画プロデューサー
一般財団法人 東武博物館アドバイザー ほか


【著書】
●歴史鉄道 酔余の町並み(駒草出版)
  http://komakusa-pub.shop-pro.jp/?pid=61024099
●続・歴史鉄道 酔余の町並み〈2016年2月1日発売〉(駒草出版)
●写真集「光り輝く特急「とき」の時代」(駒草出版)
◎「地域遺産みんなと奮戦記」(学芸出版)
◎「歩きたい歴史の町並」 文 米山淳一 写真 森田隆敏(JTBパブリッシング)

http://www.j-yoneyama.jp/

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