美しい白壁土蔵と赤瓦の町並みに癒される
<鳥取県倉吉市>

みなさん梨は好き?  私がこどものころは、梨といえば、ここ鳥取の名産・ニ十世紀か長十郎という品種が主流であった。ニ十世紀は、さわやかな甘みと酸味があり、果汁が豊富でとてもジューシー、サクサクとした歯触りの上品な味が特長である。当時は、長十郎よりはニ十世紀という評判がもっぱらであった。個人的にも梨はニ十世紀がおいしいと思うのだが、残念ながら昨今は、幸水や豊水が増え、とくに関東圏ではニ十世紀を店頭で見かけることが少なくなった。近年は、輸入系の濃い味のフルーツが増えたせいか、柿やミカンやスイカなども人気がないらしい。味の好みというのは時代とともに変化するのだろうが、果物は、妙に甘ったるいものより、酸味のある水分が豊富なもののほうが私は好きだ。
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(写真提供:鳥取県)
写真は、梨の花。清楚な白い花が、とても可憐。
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(写真提供:鳥取県)
鳥取二十世紀梨記念館 なしっこ館は、日本で唯一といわれる梨の博物館。倉吉の駅から打吹玉川へ向かう途中、左手にガラス張りの大きな建物が見える。その「倉吉パークスクエア」内にあるのですぐわかる。梨のことがよくわかるとともに、こどもも楽しめるので、ファミリーにはおすすめだ。
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さて、町歩きをするなら、もちろん打吹玉川(うつぶきたまがわ)の重伝建地区である。打吹山の北側、玉川に沿って広がる白壁土蔵群をふくむ町並みは、戦国時代には城下町として、その後江戸時代には陣屋町として成立したもの。江戸から明治にかけての建物が多く残り、赤瓦に白い漆喰壁の続く風景は独特の情緒を醸し出している。
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町を歩いていると、「こんにちわ」っと爽やかな挨拶をされた。ちょうど学校帰りの高校生たちだ。観光で町を歩く者はいわば異邦人、生活の場にずかずかと足を踏み入れるにはやや遠慮がある。そんな観光客に気持ちよく過ごしてもらおうという教育が行き届いているのに感心した。
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(写真提供:鳥取県)
この赤い瓦は、石州瓦(せきしゅうがわら)と呼ばれ、島根県の石見地方で生産される粘土瓦。山陰から山陽にかけて多く見られる。「石州モノは、凍てに強く、水を通さない」と、瓦職人が昔から語り継いできた。その強さの秘密は、良質な陶土と来待(きまち)という名の釉薬。来待釉薬は、出雲地方で採れる来待石を原料とし、耐火度が極めて高いそうだ。自然条件の厳しい地方ならではの技術といえるだろう。
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(写真提供:鳥取県)
重伝建地区からは少し離れるが、ちょっと立ち寄ってみたいのが、旧倉吉町水源地ポンプ室。昭和7年から平成2年まで倉吉の水源地として、小鴨川から水を汲みあげていた。ただの機械施設とは思えない洒落たデザインの建物は、国登録有形文化財になっている。効率や機能ばかりが優先される現代からみれば、品格を感じる建造物だ。
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(写真提供:鳥取県)
日ごとに陽光が明るくなり、本格的な春が待ち遠しいこのごろ。春といえば花見。日本にいて良かったと心から思える季節だ。倉吉の楽しみは町並みだけではない。打吹公園は「さくら名所100選」に選ばれた花の名所であるし、絵下谷川(えげたにがわ)には二百本以上の桜があり、満開の時期には昼夜とも圧巻である。そして、見逃してはいけないのが極楽寺の銘木、枝垂れ桜。樹齢約140年ともいわれる大木に咲く花は、淡紅色で赤味が強く「とっとりの名木百選」にも選ばれた華麗で見事な姿。
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(写真提供:鳥取県)
また夏なら、毎年8月の最初の週末に行われる「倉吉打吹まつり」もおすすめ。さまざまな出店が華やぎを演出し、倉吉伝統の「みつぼし踊り大会」など楽しいイベントも盛りだくさん。フィナーレでは、約4000発もの花火が歴史の町の夜空を鮮やかに彩る。
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(写真提供:鳥取県)
秋なら、9月初旬の「倉吉せきがね里見まつり」はどうだろう?南総里見八犬伝にちなんだ祭りで、なんでも安房館山から配流された里見忠義の終焉の地がここだったのだという。関金地区の小学生が演ずる子供歌舞伎や地元の太鼓上演なども見もの。なにより、すべて手作りの甲冑を身にまとって戦国武将に扮し、白壁土蔵群ほか倉吉の町中を練り歩く「関金時代行列」はぜひ見てみたい。

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レポーター

岡崎聡

「町旅」編集部

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