日本の近代化を支えた絹産業のまち、シルクタウン鶴岡の魅力
<山形県鶴岡市>

1鶴岡公園の桜
鶴岡という名は、1601年庄内を攻略した最上義光が、大宝寺城を鶴ヶ岡城と改名した事に由来する。現在、城跡は鶴岡公園となっており、春には桜が咲き乱れる花の名所となっている。
2加茂水族館
加茂水族館は、50種類以上が展示されている世界一のクラゲ水族館。深く透明なブルーの水中に、約2千ものミズクラゲがゆらゆらと漂う「クラゲドリームシアター」。じっと眺めていると、心が日常から解き放たれ、別世界へと誘われていく。疲れている人も、そうでない人も、ヒーリング効果はばっちり。
3羽黒山五重塔
当地で、もっとも知名度が高いのは、即身仏で有名な出羽三山だろう。羽黒山、月山、湯殿山、明治以前は神仏習合の権現(ごんげん)を祀る修験の山だったところ。平将門の創建と伝えられる羽黒山五重塔は、約600年前に再建された東北最古の塔で国宝に指定されている。
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さて鶴岡といえば、藤沢周平を思い浮かべる人も多いのでは?庄内藩ならぬ海坂藩を舞台に、丁寧かつ情緒豊かに物語を紡ぐ筆致は、たんなる歴史小説を超えたリアルな人間模様を活き活きと映しだし、読者の心をつかんで離さない。その藤沢も愛したという「孟宗汁」は、庄内の春を告げる郷土料理。最北のタケノコともいわれ、柔らかいなかに、しっかりした歯ごたえと、独特の風味があるのが特徴。
5民田ナス
藤沢の作品にもしばしば登場するが、松尾芭蕉が句に読んだのもこれだと言われる「民田(みんでん)なす」。皮が堅くて身がしまっており、パリッとした食感が持ち味。浅漬、からし漬、こうじ漬、醤油漬など、鶴岡の夏を代表する野菜。
6だたちゃ
いまや「だだちゃ豆」は、ずいぶん有名になって東京でも売られているが、元は庄内の特産。その昔、枝豆の好きな殿様が、毎日献上される枝豆に、「今日はどこの“だだちゃ”のじゃ?」と尋ねたのが、名前の由来だとか。「だだちゃ」とは、庄内方言で「お父さん」のことだそうだ。
7黒川能(水焔の能)
黒川能は、鎮守春日神社の氏子によって500年以上伝承されてきた伝統芸能。観世流などの五流派とはちがって、独特のかたちで古形を残しているといわれる。
8大宝館
1915年大正天皇の即位記念として建てられた大宝館は、バロックやルネッサンスなどの様式を取り入れた擬洋風建築。現在は鶴岡の偉大な先人たちの業績を展示する「郷土ゆかりの人物資料館」となっている。
9庄内藩校致道館
武士の質実剛健な気風と優秀な人材の育成のため設けられた、庄内の藩校「致道館」。現存する藩校建築として東北唯一とされ、国の史跡に指定されている。
10多層民家
致道博物館の敷地へ移築された「旧渋谷家住宅」は、1822年の建築で国の重要文化財。鶴岡市田麦俣地区に特徴的な、多層民家と呼ばれる建築様式がおもしろい。豪雪時の出入の確保、山間地の狭い敷地の有効活用などの理由で、このような多層式の茅葺になったといわれる。元は湯殿山への参拝客を宿泊させたそうだが、養蚕が盛んになるにつれ蚕室として使用されるようになったのだという。
11松ヶ岡開墾記念館
戊辰戦争では最後まで戦い抜いた強者・庄内藩も、不幸にも賊軍となってしまったのだが、その汚名をそそぎ国に貢献すべく、明治5年、旧藩士たちが刀を鍬に持ち替え原生林を開墾した。その土地が「松ヶ岡」。そこに広大な桑畑と、三階建ての巨大な蚕室が10棟建設され、当時外貨獲得のための輸出品として急成長していた絹産業で、日本の近代化に大きく貢献した。現在は、「松ヶ岡開墾場」として国の史跡になっており、現存する5棟の建物には、養蚕や開墾の記念館、映画の資料館、ショップや食事処などがあり、歴史を知りつつ楽しめる施設になっている。
 
残念ながら日本の絹産業はいま、生産量が最盛期の1%にも満たない。ここ鶴岡は、養蚕から製糸・縫製まで、絹関連の産業がいまも息づく希少な土地である。当市では平成21年より「鶴岡シルクタウン・プロジェクト」を始動し、地域活性化とともに、貴重な日本の伝統産業を未来へ継承する取組に力が入っている。

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レポーター

岡崎 聡

「町旅」編集部

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