近代日本のシルクロードを辿る⑫


岡谷製糸業〜黄金時代の繁栄の証
旧・林家住宅の贅を極めた金唐革紙の部屋
〈長野県岡谷市〉

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国の重要文化財にも登録されている旧・林家住宅の主屋です。(主屋というのは建物屋敷の中で家族が居住するメインの部分を言います。)岡谷の製糸家で3大創業者の1人と言われる林国蔵の住まいでした。丸みがかって湾曲した特徴のある屋根はむくりと言って、日本の伝統的な建築法の一つ。大隅流第14代の棟梁・伊藤佐久二の匠の手によるもので、重厚さの中にも素朴な味わいの感じられる美しい建築です。
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この屋敷の中の白眉は、離れ2階の和室の壁・天井・襖・床の間の壁すべてに金唐革紙(きんからかわし)が使われていることでしょう。それほどに岡谷の製糸業最盛期の遺産といわれるその贅の極みには、目を見張るものがあります。また同じ面積を刷るなら「札の方が安い」と言われたほど、費用も天井知らずだったようです。当時はまだ洋式だけで使われていた金唐紙を和室に取り入れたところも、斬新でした。
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同じく旧・林家私邸の洋館です。外装はかなり傷んでるものの内部は100年前の建築とは思えないほど保存状態がよく瀟洒(しょうしゃ)な造りです。絹糸の商談の際に外国からの貴賓をもてなすために建てられました。天井は金唐紙、壁・床は寄木細工で、細部にほどこされた繊細な彫刻が華やかさの中にも気品を感じさせます。
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株式会社  金上繭倉庫(きんじょうまゆそうこ)
岡谷に現存する数少ない3階建繭倉庫です。当時はそれこそたくさんあった繭倉庫ですが、絹から化学繊維へと世界の衣料・繊維の需給の流れがシフトする中、わが国の養蚕・製糸業も縮小・衰退し、現在ではその建物の多くが取り壊されてしまいました。そのような中、なかなか目にすることも少なくなってしまった繭倉庫ですが、こちらの繭倉庫は保存状態も良く、見た目も美しいままに現在も現役の荷物倉庫として稼働しています。また、四角い窓が並んで見えるのは繭倉庫の特徴の1つ、繭の自然乾燥に欠かせない通気性を確保するためのものです。
 
写真:米山淳一

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