現代の人々をリアルに結ぶ甲賀の三大佛 ①

現代の苦悩を除く薬師如来と日本最大の十一面観音坐像
<滋賀県甲賀市>

滋賀県甲賀市は甲賀流忍者で知られている町だが、その忍者の陰に忍んでいた名所があるのをご存知だろうか? 平安時代から密教の霊場として栄えたこの地域は、千年を超す年月を地域とともに過ごしてきた名刹・古刹が数多くあり、そこに納められた仏像ともども文化財の宝庫なのである。
 
三大仏加工.indd
 
なかでも近年になって脚光を浴びているのが櫟野寺(らくやじ)、十楽寺(じゅうらくじ)、大池寺(だいちじ)が所蔵する丈六仏。丈六とは仏様の身長とされる1丈6尺(約4.8m)のサイズ(坐像の場合は半分の2.4m)を指し、これより大きなサイズの仏像が大仏と呼ばれるそうだ。そのような丈六仏が甲賀市に3体あったことから、「甲賀三大佛」と名づけられ新名所となったのである。甲賀三大佛巡りは、心の安らぎを得られる「安心(あんじん)参り」でありながら、観光のルートとしても見どころが多い。
 
a櫟野寺本堂※取材時は修繕工事中のため、公開時は写真と異なる場合があります。 
aIMGP6278
三大仏の一体が鎮座する櫟野寺は、甲賀地域において天台宗比叡山延暦寺の拠点としての役割を担っていたとされる。そのため、平安時代からの古物が数多く伝わっており、20体以上の重要文化財が安置されている独自の宝物殿まである。平成28年9月13日から29年1月9日まで東京国立博物館で開催された特別展「平安の秘仏」は、櫟野寺の単独展であるにもかかわらず20万人以上が訪れている。
 
a薬師如来坐像(櫟野寺)
そんな櫟野寺にある丈六仏は、現世において心身の病を除いてくれるとされる「薬師如来坐像」。薬師如来は医薬を司る仏で、手に薬つぼを持っているのが特徴。現世の心身の病を除いてくれる仏さまだという。甲賀三大佛のなかでは最も小さい像高2.2mであるが、中国の周時代の尺はいささか短くその単位で造られた丈六仏となるそうである。
 
a櫟野寺十一面観音坐像
もう一つ見逃せないのは、櫟野寺のご本尊である「十一面観音坐像」。比叡山開祖の最澄法人が櫟(いちい)の巨木に霊夢を感じ一刀三礼のもと立木に刻まれたと伝わり、限られた期間しか拝むことができない秘仏。先に述べた「平安の秘仏」展においてもメインビジュアルを飾られ、多くの人々を会場へと導いている。しかも今年(2018年)は33年に一度のご縁を結ぶ年にあたり、10月6日~12月9日の期間行われる大開帳は訪問するまたとない機会だ。
 
a櫟野寺収蔵庫入口
重厚な扉の奥に納められた「十一面観音坐像」が大開帳で姿をみせるとき、約80年ぶりに櫟野寺所蔵の仏像群が一堂に揃うという。いまこの記事を読むあなたは、一生に一度あるかないかのご縁とすでに結ばれているのかもしれない。
 
 
つづく
 
※取材協力ならびに画像提供(1・3枚目を除く):びわこビジターズビューロー

INFORMATION

地図

レポーター

恩田 正恒(町旅編集部)

この連載の取材ではびわこビジターズビューローの方々やお寺のご住職・地域の方々など、本当に多くの人たちにお世話になってます。
普段の町旅取材とは異なるスタイルでしたが、楽しく充実した取材ができました。
これからちょっと滋賀県の記事が多くなりそうです。

関連タグ

関連記事

エリア

(Categories)

タグ

(Keywords)

すべてのタグを見る

おすすめ記事