関東地方の最北で感じる活きた火山の息遣い
<栃木県那須町>

東京から北へ約180km。関東では有名な避暑地のひとつ那須は、数多くのレジャー施設や宿泊施設・別荘地があり何度いっても楽しめるが、まずは荒々しい外見に似つかず登りやすい茶臼岳に登ってみるのがオススメだ。
 
画像提供:公益社団法人 栃木県観光物産協会画像提供:公益社団法人 栃木県観光物産協会
 
那須連山の主峰であることから那須岳と表記されることもある茶臼岳は、いまも噴煙を吐き続ける活火山のひとつ。10月ごろは中腹から山麓にかけて紅葉が広がり、多くの人が訪れる名所のひとつとなっている。噴煙と紅葉が一つの絵のように見られる場所はそうそうないので、タイミングがあえばぜひ紅葉時に訪れるべき。
 
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しかし、紅葉の時期以外も実はなかなか。車道や那須ロープウェイの混雑も緩和され、時間に余裕をもって散策できるメリットもあるし、見事な眺望は茶臼岳に登れば得られる。活火山という自然条件のためか、山頂付近は高い木が生えておらず一年を通して見晴らしが良いのだ。
 
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しかも、ロープウェイ(冬季は休業)を使って8合目まで行けば、標高1,915mの山頂まで歩いて40~50分程度。運が良ければ山頂駅付近で雲海が見られることも。ロープウェイを使わない場合でも、駐車場最奥部から山頂までのコースタイムは1.5~2時間。ルートは整備されているので、気候条件が良ければ子ども連れでも楽しんで登れるはず。ただし、風が強いことが多いので年間を通して防寒対策は必須。冬季は雪や低温など危険を伴うので、絶対に無理は禁物。
 
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山頂付近には、いまも煙を噴き出す火口跡があり、間近で見ることができる。ゴツゴツとした岩が転がる景色は荒涼としているが、なぜか人の気持ちを揺さぶるものがある。
 
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散策がすんだら温泉で疲れを癒やそう。火山の麓に広がる那須一帯には、設備がととのった温泉施設や立ち寄り利用ができる宿泊施設も数多くあるが、一度は行っておくべきなのが738(天平10)年の正倉院文書に記録が残るという「鹿の湯」。江戸時代には、江戸在府の大名が湯治に訪れ、松尾芭蕉も立ち寄ったといわれる歴史ある温泉だ。
 
画像提供:公益社団法人 栃木県観光物産協会画像提供:公益社団法人 栃木県観光物産協会
 
浴室は体を洗う場所がなく6種類の浴槽が並んだ独特のスタイル(一番手前が汗や汚れを落とすかぶり湯)。石鹸やシャンプーは使用禁止で、基本的には体を流して湯に浸かるだけである。浴槽の温度は41・42・43・44・46・48度(48度は男湯のみ)とかなり熱め。他では得られない温泉体験を味わえる。
 
画像提供:公益社団法人 栃木県観光物産協会画像提供:公益社団法人 栃木県観光物産協会
 
鹿の湯の目の前にある「殺生石」にも立ち寄るべし。古人が獣や鳥が死んでいる場所から特定し「殺生石」と命名されたという石は、九尾の狐が姿を変えた毒石という伝承もある。いずれにせよ恐怖の対象となっているのだが、「怖いもの見たさ」は人類共通の習性なのか、古くから人々が見物に訪れる場所であった。かの芭蕉もこの風景を見て句を詠んだことから「おくのほそ道の風景地」として国の名勝に指定されている。いまでも有毒の火山ガスが噴出しているため、チラホラ注意書きが添えられたなかなか珍しい観光スポットだが、火山が作り出す特異な自然を感じて欲しい。

INFORMATION

地図

レポーター

恩田 正恒(町旅編集部)

先月続編が公開された映画「ブレードランナー」の原作「アンドロイドは電気羊の夢をみるか(フィリップ・K・ディック)」という有名なSF小説のなかに、終盤になるまでひたすら苦難に耐え丘を登っているだけのウィルバー・マーサーというキャラクターがいます。

茶臼岳の隣にある「朝日岳」山頂への最後の道を登っていると、なぜか必ずウィルバー・マーサーのシーンを思い出すのです。石の礫は飛んできませんが…。

※写真はロープウェイ山頂駅近くから見た茶臼岳です

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