JR新潟駅から最も近い「全量純米仕込み」の酒蔵『今代司酒造』で酒蔵見学
〈新潟県新潟市〉

「錦鯉」という世界に通用する美しい日本酒のパッケージをご覧になったことはないだろうか?近年、海外の数々のデザイン賞を総ナメにし、国内でも2016年のグッドデザイン賞に輝いた話題のボトルだ。この「錦鯉」をはじめとする全量純米仕込みの酒蔵として知られる新潟県の『今代司(いまよつかさ)酒造』は酒蔵見学にも定評がある。

遡ること江戸中期からの歴史を持つ『今代司酒造』が本格的に酒造りをはじめたのは明治32年のこと。当時から使われている建物は、震災にも持ちこたえた強者だ。歴史を感じさせる建屋の木目には味わい深さが宿り、美しい白壁とのコントラストが目にもまぶしい。

案内してくださった9代目蔵元・山本さんの話では、こちらの酒造りは、例年10月上旬からはじまり翌年の3〜4月頃の約半年間で終了するという。9月初旬の今は、農家が原料の米(酒米)をまだ収穫中という話だった。刈り入れた米は検査にかけられ、精米してから運ばれてくるという。見学者が集まるこの場所は、酒造りの時「米置き場」に使われるそうだ。

昨年秋に仕込んだお酒を貯蔵している「本蔵」は、中へ入ることを許されない。「本蔵」への入り口には、新酒が出来たことを知らせる「杉玉(酒林)」と、この先の領域が神聖な場所であることを示す注連縄(しめなわ)が祀られている。古来、日本では酒造りと神事は密接な関係にあった。

酒造りの工程で、酒を加熱殺菌するために使われている釜。中を覗くと釜の内側には外周に沿って管がコイルのように巡らされている。この加熱殺菌を専門用語では「火入れ」と呼ぶ。釜にはたっぷり沸かした湯を入れ、管を通る酒が一巡するうちに設定した温度まで熱せられる。約60度で死滅する酵母菌だが、こちらではより確実性を高めるため、65度に設定しているそうだ。

すぐ隣には今代司と記された木桶も置かれている。昭和20年代までは『今代司酒造』でも木桶で仕込みを行っていたが、時代の流れによりほとんどの酒蔵から姿を消してしまった木桶。しかし近年、木桶で仕込むことの意義が再注目され、全国でぽつぽつと木桶での酒造りが復活し始めている。「木桶仕込み 純米大吟醸酒 今代司」はそんな中、満を持して発売された。

見上げると建屋の天井がかなり高いのに気付く。これにも理由があり、米を蒸すときの蒸気を逃がすためだという。

扉を開けて外から見た本蔵の貯蔵タンク。『今代司酒造』では、他にサーマルタンクという樹脂製のタンクも使用しているが、こちらのグリーンのタンクは昭和中頃に作られた鋼製。一枚板のスチールを高熱で曲げて円筒形にし、溶接でつないで作っている。左側の4つのタンクは今年の新酒がすでに出荷され現在は空っぽの状態。しかし10月から造り始めた酒が年内に数本できるのを、ここに貯蔵するのだという。

「江戸蔵」と名付けられているこの蔵は、その時代に他の蔵から移築したといわれている。天井を支える美しく湾曲した梁は、はじめからこのようなアーチ型をした天然木を使っているそうだ。それゆえより強靭なのに違いない。

蔵の中でギャラリーと呼ばれる渡り廊下には、『今代司酒造』の歴史が見てわかる、古い道具類や看板などが美しく陳列・展示されており、なかには足を止めてじっくり鑑賞したい珍しい逸品もある。

お米の精米歩合がひと目でわかるように陳列された棚では、原料の玄米と磨かれた精米とが銘柄ごとに比較できる。瓶いっぱいの玄米を50%磨けば半分の量になるのは頭では理解しても、じっさいに目で見たほうがインパクトが強い。

ギャラリーを抜けると元の集合場所に出る。ここまでの見学時間はせいぜい20分といったところ。長すぎず短すぎずな絶妙な時間配分も十分に考え練られたもののようだ。

試飲コーナーでは、蔵にあるほぼ全種類の酒と甘酒を500円(税込)で試飲することができる。この大サービスには驚くばかりだが、日本酒好きはここで「じぶん好み」の酒が見つかる確率も高いため、結果、店頭販売コーナーで帰りの土産を買ってしまうことになる(笑)。季節により試飲できるお酒の種類も入れ変わるので、次はぜひ新酒の季節に訪れたい。
 
写真:乃梨花

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レポーター

乃梨花(「町旅」女子部)

ひとり暮らしの猫飼い人ゆえ、
長らくショートトリップ派・・でしたが、
最近は、猫を預けて遠くまで足をのばすこともしてます⭐️
(➕日本酒党❤️)

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