北野異人館街、そして坂のある裏通りを歩く
<兵庫県神戸市>

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重伝建というとつい土蔵造りや武家屋敷のような日本的町並みを思い浮かべるが、ここ北野異人館街は函館と同様に洋館が中心の重伝建地区である。昨今、文化財は“いかに残すか?”から“どう活用するか?”へ課題が移りつつあるが、この建物、写真ではわかりにくいが、じつは内部がスターバックスになっている。1907年の建築で、震災被害により取り壊し予定だったものを、現在地へ移築・再建されたのものという。日本各地に町屋カフェなどがたくさん出来るようになったが、スタバというのは時代の変化を感じさせる。
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北野通りの中心で目立っているのが、この「ベンの家」。英国貴族の旧邸といい、「白頭鷲」「イッカク」「ヌー」など珍しい生き物の剥製が館内にずらりと並ぶのが見ものである。
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ちょうど向かいの細い坂道を登っていゆくのが、おすすめのコース。坂の上からは、洋館の向こうに神戸の町が遥かに望める。
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風見鶏の館」はドイツの貿易商が自邸として建てたもので、レンガ造りはこの地区で唯一。名称の由来である尖塔の風見鶏は、北野異人館街の象徴といってもいい。
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館内はドイツ様式のなかにアール・ヌーヴォーを感じさせ、重厚な雰囲気がいかにもヨーロッパを思わせる。
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二階のサンルームから神戸の街が見渡せる「萌黄の館」は、アメリカ総領事の邸宅であったといい、対照的に明るい雰囲気である。先の震災で屋根から落下した3本の煙突のひとつが、モニュメントとして庭に保存されていた。
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さて異人館エリアと三宮駅を行き来するには、北野坂が定番コースだが、ちょっと裏道を散策してみよう。北野通りを英国館の手前から脇へ入り、なかなか風情のある細い坂道を下る。やがて見えてくるのが「神戸パブテスト教会」である。尖塔のある白壁の教会堂と棕櫚の木の組み合わせが、異国情緒を醸し出していて印象的である。
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さらに下って左の路地へ入ると、「神戸ハリストス正教会」が見える。大きな建物ではないが、細い坂道と周囲の住宅地にしっくり馴染んでいて、この土地の歴史と伝統を感じさせる。
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そのすぐ下手には「一宮神社」がある。神戸には、生田神社を囲むように一宮から八宮まで「生田裔神八社(いくたえいしんはちしゃ)」と呼ばれる神社があり、数字の順にめぐると厄除けの御利益があるといわれる。一から八まで順番がついたのは、神功皇后(じんぐうこうごう)が巡拝された時とも伝わるのだそうだ。
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もう少し下ると、この風景。どうだろう?ありきたりの景色にも見えるが、どことなく神戸らしさを感じないだろうか?細い坂道と、向こうに迫った山と、なんとなくエキゾチックな匂いと、そしてこのオバチャン。神戸の町は、どこへ行っても、こういう匂いの一角がある。まさに町の歴史が発散する雰囲気なのだろう。観光整備された異人館街も素敵なのだが、こういうなにげない路地を巡ると、神戸の町歩きはさらに奥深くなると思う。

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レポーター

岡崎 聡

「町旅」編集部

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