白壁土蔵の酒蔵通りと茅葺町屋の河港、二つの重伝建が見事な町
<佐賀県鹿島市>

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博多からJR特急で約1時間、肥前鹿島で各駅停車に乗り替えて5分ほど、肥前浜駅から徒歩数分で重伝建地区へ到着する。煉瓦造りの煙突が見えると、いかにも酒造の町という風情が漂ってくる。
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「肥前浜宿」は、有明海へそそぐ浜川の河口にできた在郷町で、宿場としてまた酒造の町として発展したところである。ゆるやかにカーブする街道の両側に、白壁の土蔵造りが建ち並び、美しい歴史的景観を形作っている。
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ちょうど地区の入口付近にある煉瓦壁の医院。現役で使用されているようで、なかなか素敵である。
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その右隣にあるのが「継場」、かつては宿場での人馬の交換業務、いわゆる継立てをした建物である。馬をつなぐ鉄の輪や帳場の跡などが残っており、現在は観光案内所として活用されている。
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元は郵便局だったというこの洋風建築は、昭和初期のものだといい、現在は公民館になっている。出来た当初はずいぶんハイカラに見えたのかもしれないが、いまは土蔵造りの町並に自然にとけこんでいる。
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右手の「中島酒造場」は明治18年の建築、その向かいの「旧中島政次家住宅」は明治27年の建築といわれている。
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酒造業が盛んになったのは、元禄年間(17世紀後半)だということで、天保9(1838)年には9軒の酒屋があったそうだ。いまも操業する蔵が数軒あるので、二百年間現役で培われてきた文化の醸し出す風景ということだ。見事というほかない。
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お酒をはじめお土産品などを扱う「肥前屋」のお店の奥は、昭和レトロたっぷりの展示コーナーになっている。壁には懐かしいシングルレコードがずらり!やっぱりレコードジャケットっていいよねえ。そっと盤を取り出して、ターンテーブルに置き、針を落として、ジャケ写を眺めながら聴く、ネット配信にはない楽しみだった。
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さて、浜川の橋を渡ったところ「浜庄津町浜金屋町」は、がらりと雰囲気が変わる。商人、船乗り、漁師、鍛冶屋などが住んだところといい、茅葺や桟瓦葺の町家が建ち並ぶ一帯は酒蔵通りとはまったく趣がちがう。
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茅葺の建物はまだ日本各地に多数残ってはいるが、だいたいは農家や社寺が多いのではないだろうか。こういう港町にある茅葺の町屋が残っているのはあまり見かけない。屋根に向けてスプリンクラーが設置され、とても大切に保存されいるのがわかる。白壁土蔵と茅葺町屋、駅から歩けて、ふたつの異なる歴史空間がたっぷりと楽しめる、ぜひ一度肥前浜宿をめぐってみることをおすすめする。

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レポーター

岡崎 聡

「町旅」編集部

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