1000年の風雪に耐えて残る年代も作者も不明の国宝
<大分県臼杵市>

311-07九州の東側に位置する大分県は、磨崖仏(まがいぶつ)の数が全国一と言われている。磨崖仏とは「自然の岩や岩壁に刻まれた仏像」のことで、日本では平安時代~鎌倉時代に多くつくられたと考えられている。
 
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大分県臼杵市の「臼杵石仏(うすきせきぶつ)」は、そんな磨崖仏が数多く残された日本を代表する石仏群。四季おりおりの花が咲く「臼杵石仏公園」やボランティアガイドによる個人用無料案内など周辺の環境も整えられており、多くの観光客が訪れるスポットにもなっている。
 

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311-06石仏は「ホキ石仏第一群」「ホキ石仏第二群」「山王山石仏」「古園石仏」の4つのグループにわけられ、それぞれ特徴的な配置で彫られ顔だちも異なっている。誰がいつ彫ったか確たる資料は一切見つかっていないが、1000年の風雪に耐え残り続けた60数体のうち59体(61体になることが内定)もの石仏は、その質の高さから彫刻部門の国宝に指定された。
 
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中心的存在と考えられている「古園石仏」は、「大日如来像」を中心とする13躯で曼荼羅が構成されているといわれる。端正な表情から神秘的な雰囲気をただよわせる中尊の大日如来坐像は、日本の石仏の中でも最高傑作の一つといわれており、臼杵市のシンボルとしてJR臼杵駅前にレプリカも置かれている。大昔に誰かが彫った像が、長い年月のあいだ地域の人々を結び続けているのは驚異的と言ってよいのではないだろうか。
 
311-11画像提供:公益社団法人ツーリズムおおいた
311-10画像提供:公益社団法人ツーリズムおおいた
8月の最終土曜日に行われる「国宝臼杵石仏火まつり」は、約800年前から伝わる「虫送り」「 豊作祈願」「 地蔵祭り」を発展させた西日本最大級の火祭りだ。石仏周辺に配された1000本の松明と、石仏群の前に置かれたかがり火に火が灯され、一帯は幻想的な景色に包まれる。祭りの楽しさを味わいながら、地域に続く「人々の思いや祈り」を身近に感じられる貴重な機会である。

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レポーター

恩田 正恒(町旅編集部)

山を歩いていると、たまに名もなき磨崖仏をみかけることがあります。やはり朽ちかけている石仏が多いのですが、その虚飾のないところにこそ「真摯な祈り」があるように感じます。人気のない山中で石を彫るという行為には、どれほどの想いが込められているのでしょう。

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