地元ボランティアの方と歩く

石の記録から想起するかつての人々の物語
<福島県二本松市>

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二本松城の本丸は標高345メートル。箕輪門からは100m以上を登っていくのだが、ガイドの鴫原(しぎはら)さんから、見せたいものがあるので一度車に戻ろうと提案があり、庭園内をゆっくり降りることに。城内は名前がつけられていない場所も美しく整備され、ただ散策するだけでも豊かな気分になれる。
 
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駐車場に戻り移動の準備、城周辺の駐車場は誘導の方がいるので安心。しかも無料。
 
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観光案内所の方に挨拶をして出発。観光案内所では、園内や市内の観光パンフレット類を貰えるのはもちろん、日本百名城スタンプが押せたり、市内各所にある桜の開花状況なども知ることができる。所員の方もとても親切なので、行きかえりに立ち寄るといいだろう。
 
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走り始めて束の間、すぐ隣にある駐車場で停車。ここは藩士の通用門があった場所で、巨大な石が鎮座している。この大石は「旧二本松藩戒石銘碑」といい、二本松城より約70年も早く国に指定された史跡とのこと。
 
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近寄って見ると以下のような文字が(縦書きで)刻まれていた。
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爾俸爾禄
民膏民脂
下民易虐
上天難欺
寛延己巳之
年春三月
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この4句16字(赤字部)は「お前の俸給は、民があぶらして働いたたまものより得ているのである。お前は民に感謝し、いたわらねばならない。この気持ちを忘れて弱い民達を虐げたりすると、きっと天罰があろうぞ。」と解釈され、二本松藩士の行動規範を示したもの。5代藩主丹羽高寛公が藩士の戒めとするため刻ませたそうだ。戊辰戦争で多くの藩士が地域のために殉じたのも、この教えがあったからなのだろう。
 
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ふたたび車に乗り城の東側にある舗装路を走る。尾根あたりまでくると鴫原さんから未舗装路に入るように言われ細い道をいくと、なんと本丸すぐそばの駐車場に到着。園内マップには乙森という地名と駐車場のマークが書かれているが、知らなければなかなか入りづらい一車線の道であった。
 
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ただし、駐車場はきちんと整備されており広さも十分。歩きで坂を登るのがツラいという方や、時間がないけど本丸に来たいという方にオススメ。
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室町時代中期に築城されてから江戸時代まで度重なる改修がされている二本松城は、各時代の石垣の遺構が検出されている。
 
nihonmatsu_3_08垂直に近い角度でそびえ立つ姿は、威圧感がありながらも美しい。天守付近は慶長期の「穴太(あのう)積み」が多い。
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一角には、石積みの様式や年代・修復方針が展示されているので、城好き・石垣好きにとってはたまらないスポット。本丸と周辺の石垣は15の面に区別され、平成になってから修築・復元が行われたのだが、さらに当時の状態の石垣も一部を移築保存されており、様々なバリエーションを比較してみることが可能。パンフレットでは「石垣博物館」という言い回しも使われていた。
 
nihonmatsu_3_11残念ながら天守閣は無いが、広々とした天守台は360度の視界が開ける絶景ポイント。
 
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二本松の市内や阿武隈山地…
 
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そして地元では山容から乳首山(ちちくびやま)と呼ぶ人が多いという安達太良山(あだたらやま)も視界に収めることができる。中世城館から近世城郭への変貌のなかで、天守周辺はあまり使われなくなっていったそうだが、この地形と視界の良さが戦国期には重要であったはず。二本松城に訪れた数多の有名武将も、同じ風景を眺めていたのだろうか。
 
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天守台のほぼ中央には、戊辰戦争の落城時に上級藩士が切腹したと伝わる場所がある。美しい景観を眺めたのちは、この地に立った人々と物語におもいを巡らせてみてはいかがだろう。
 
つづく
 
取材協力:二本松市役所観光課

INFORMATION

地図

レポーター

恩田 正恒 (町旅編集部)


写真は安達太良山の山頂です。こちらを見てもらえれば、地元の人が乳首山(ちちくびやま)と呼ぶのも分かりますよね。
鴫原さんから「稜線が寝ている女性の形に見える」と教えらえると、乳首にしか見えなくなりました(笑)


【二本松観光ボランティアガイド協会 事務局】
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※10日前までに予約が必要
電話:0243-55-5095

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