地元ボランティアの方と歩く

戊辰戦争の激戦地に刻まれる武威の証しの「×」印
<福島県二本松市>

東京から北へ約250㎞、車で約3時間、新幹線を使えば2時間ていどでたどり着く二本松市。この町には、安達太良山や阿武隈川が織りなす豊かな自然景観、二本松城とその城下町が育む歴史・文化、そして酒蔵や伝統工芸の木工など、歴史町歩きの題材が溢れており、趣味や嗜好にあわせた訪問先が選べる。市としても観光に力を入れており、時間もコースも指定できる無料のガイドさんまで準備(要予約)してくれている。
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今回はそんな二本松観光ボランティアガイドのひとり鴫原(しぎはら)さんに二本松市の見どころを案内していただいた。鴫原さんは郵便局を定年まで勤めたあと二本松市のボランティアに参加し、ガイドとしてもすでに11年のキャリアを持つ大ベテラン。地元の言葉と標準語を自在に使い分けたガイドは、知識を得られるだけでなく、つねに笑いがあふれる楽しさだ。取材中にも町の人が何人も声をかけてきた有名人でもある。
 
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まず最初に訪れたのは日本100名城のひとつでもある国指定史跡二本松城跡。二本松城は、1414(応永21)年に畠山氏によって創建されたといわれ、戦国時代から江戸時代初期にかけてたびたび領主が変わったものの、1643(寛永20)年から1868(明治元)年までの225年間は二本松藩・丹羽家の居城として使われた。その間に整備された城下町が、現在の二本松市の町割りや文化のベースとなり、地域の文化にも大きく影響している。
 
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現在は県立霞ヶ城公園として整備され、二本松を訪れる人のほとんどが立ち寄るという観光スポットになっている。広い園内には想像以上に多くの見どころがあり、訪問時は半日くらいの時間をとっておきたい。
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二本松は戊辰戦争の激戦地でもあり、城の前には12~18歳の少年隊士で構成された部隊の銅像「二本松少年隊群像」が設置されている。22歳の隊長・木村銃太郎のほか、少年隊士62名のうち14名が戦死。板垣退助率いる西軍に対して圧倒的不利な状況のなか、二本松を守るために志願した覚悟の部隊であったそうだ。二本松少年隊という名前もかなりあとになってつけられたもので、当時は隊としての正式名称もなかったとのこと。急いでいるとつい見過ごしてしまいそうな像にも様々な物語・理由がある。こういったお話を地元ガイドの方から聞くと、ほんの数世代前のこととして実感でき旅の味わいがより深まる。
 
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少年隊士の肩口に刻まれた×印は、二本松藩・丹羽家の家紋である「直違紋(すじかいもん)」。鴫原さんによると織田四天王のひとりであった丹羽長秀が、合戦後に刀をぬぐった時の血のり跡が「×」になり、それを見た豊臣秀吉から家紋にするよう薦められたとのこと。その他にも説はあるようだが、いずれも武威を誇る逸話であり、シンプルながら力強さを示す「×」紋となっている。そんな二本松藩の武家に生まれた子供達は、負けると分かっている戦いでも背を向けることができなかったのだろう。
 
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少年隊の像から少しだけ離れた場所には、この紋を縫い付けたであろう母親の銅像が隠れるように佇んでいた。
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二本松城の正門である丹羽家初代藩主光重公が建造した櫓門(やぐらもん)。主柱として使われた樫の巨木を領内の箕輪村から持ってきたことから「箕輪門(みのわもん)」と名づけられた。戊辰戦争により破壊されてしまったが昭和後期になって再建され、美しく堂々とした姿をみせてくれる。ここでも門幕に丹羽家の直違紋が印されている。
 
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門をくぐると迎えてくれるのが5本の古木群「箕輪門のアカマツ」。1657(明暦3)年の石垣修理の記録などから樹齢350年以上と考えられ、二本松城の石垣とともに見事な景観をつくりだしている市指定天然記念物である。江戸時代に丹羽家がこの地に来たころから、各時代の人々が目にしてきたことを思うと感慨深い。
 
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箕輪門のアカマツを一周するようにあがったところが三ノ丸下段になる。ここは大きな広場になっていて、2,000本以上の桜が咲き誇る霞ヶ城公園の人気お花見スポット。取材時はすでに飲食店やトイレなども準備され、あとは桜の開花待ちの状態だった。ちなみに秋に行われるイベント「二本松の菊人形」の会場としても使われている。shigi_03d
 
 
 
 
 
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4月上旬から5月上旬に行われる「霞ヶ城公園さくら祭り」の期間は、庭園のライトアップも行なわれているので、夜に出直してくれば昼とは変わった美しさを見ることができるそう。まだ花が咲いておらず残念であったが、園内は日本さくら名所100選のひとつにもなっているのだ。
 
つづく
 
 
取材協力:二本松市役所観光課

INFORMATION

地図

レポーター

恩田 正恒 (町旅編集部)

写真は今回ガイドをしていただいた鴫原俊郎(しぎはらとしろう)さん。
ガイド歴10年をこえるベテランで、地元の言葉で話したあとに標準語で説明する「一人通訳」を駆使して、二本松のあらゆるところを『楽しく』案内してくれます。福島県で最も読まれている新聞でコラムを連載されていたこともあってか、取材中も多くの人から声をかけられていたのが印象的でした。町旅では書けない裏話は、ぜひ二本松へ訪れて聞いていただきたいです。


【二本松観光ボランティアガイド協会 事務局】
一人旅からツアー旅行まで、二本松市の歴史やみどころを無料で案内してくれます。 
※10日前までに予約が必要
電話:0243-55-5095

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