春うらら。猫に惹かれて中山法華経寺まいり
<千葉県市川市>

桜が咲き始めた中山法華経寺へ3月の終わりのある日、暖かい陽気に導かれるようにやってきました。京成中山駅(JR下総中山駅からも行ける)を出て左に折れ、道にかかる黒門と呼ばれる法華経寺(ほけきょうじ)の総門をくぐり、はるか先に小さく見える山門(通称:赤門)へ。まずは、ぐいぐいとゆるい坂道をひたすら上っていくところからスタートです。
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山門(赤門)に着くと、門をくぐった先に見えるのは、桜の季節ならではの期間限定のパステルピンクの背景。それだけなのに、なぜか気持ちが上昇するからふしぎです。
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この日は、参道を散歩する保育園児たちの行列とハチ合わせ。ちっちゃくて可愛いピンク帽たちの行進が、桜と合わさり春色効果も抜群です。
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ここの参道はちょっとばかり谷になっています。つまり両側が土手のように高くなっていて、その高くなった敷地の奥に院坊が並んでいます。ひとつひとつ丹精された庭に囲まれた院坊では、四季折々の花と草木が年間を通して楽しめます。
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境内に近づいてくると、この寺の名物!五重塔も顔を出します。赤い欄干の龍渕橋手前には、昔から長く続く老舗の茶店も。成田山や浅草などの店数の多いにぎやかな参道と比べると、こちらははるかに地味ですが、そのぶん肩肘張らずにのんびりとくつろげる、閑かな雰囲気が魅力です。
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江戸・慶応年間から続く『額堂』は、古井由吉の文学小説(中山坂/『眉雨』)にも登場します。小説にも描かれた中山名物の『きぬかつぎ』は塩味だけで食べる里芋の粘りと風味が癖になる素朴なおいしさ。5代目店主の伊藤悦子さんによれば、東西線の西船橋駅ができる以前は、中山競馬の“オケラ街道”は、この辺りだったため、当時のこの界隈は競馬客でも大にぎわいだったそう。それ以前の中山はここ中山法華経寺の門前町として栄えてきました。
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また、この日蓮宗大本山の法華経寺は、荒行の修行場としても全国的に有名です。毎年11月1日から翌年2月10日まで行われる「寒百日大荒行」では、全国から多くの僧侶が集まり、100日間、世間とは一切断絶したまま、読経と、1日3時間の睡眠、1日7回の水行、一汁一菜の食事という、ハードな修行のメニューをこなします。
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日蓮聖人をお祀りする大堂「祖師堂(重要文化財)」は、鎌倉時代(1325)の創建以来、幾度かの焼失にあい、今日まで再建を重ねてきました。現在の祖師堂は、江戸中期(1678)に上棟されたもの。建物は大規模な七間堂で、屋根を二つ並べたような比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)の形式を持つのが特徴です。この造りは全国でもたいへん珍しく、他では岡山県にある国宝・吉備津神社本殿のみに見られます。
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ここ法華経寺は、中世に当地を治める千葉氏配下の富木常忍(ときじょうにん)と太田乗明(おおたじょうみょう)が、日蓮に帰依してその有力な檀越(だんおつ)になったことが始まりです。最初にそれぞれ自邸に持仏堂を建てたのが、やがて富木家が法華寺・太田家が本妙寺となり、戦国時代(1545)についに両寺が合体して法華経寺となります。祖師堂以外にも、写真の五重塔や、法華堂、四足門など重要文化財が多いのも特色。日本仏教の中でも枢要な位置を占める名刹の1つです。
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堂の渡り廊下の役目も果たす宝殿門は、周囲の緑も含めた雅な佇まいで参詣者を魅きつけます。下をくぐり抜ければ『国宝』を所蔵する聖教殿へと続く、美しい木立の道があらわれます。
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このタイミングでようやく猫さんに遭遇。じつは、中山法華経寺の境内と参道を含むエリアは猫好きの間では有名な『猫スポット』。写真家の岩合光昭氏の撮影する猫を創刊時から掲載する雑誌『猫びより』でも過去に特集記事がありました。この三毛猫のみぃちゃんも、おそらくここ中山で有名な地域猫※なのかもしれません。(※地域の人が協力して面倒を見ている猫のこと。)
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猫さんに長くかまけていたせいで『国宝』を仕舞っている聖教殿を見るのがすっかり遅くなりました。聖教殿は、日蓮の遺品を所蔵するために建てられた宝物庫で、国宝の『立正安国論』や『勧心本尊抄』をはじめ、国指定の重要文化財となっている日蓮聖人の直筆遺文が収蔵されています。インドの仏塔形式の建築物で、昭和6年(1931)に耐震耐火を考慮し、当時の技術の粋を集めて作られました。設計は、築地本願寺を手がけた建築家・伊東忠太氏によるもの。このいわく言いがたい厳かな空気に触れたとき、この寺の“ただものじゃない感”がじわじわ伝わるしくみです。
 
写真:乃梨花

INFORMATION

地図

レポーター

乃梨花(「町旅」女子部)

ひとり暮らしの猫飼い人ゆえ、
長らくショートトリップ派・・でしたが、
最近は、猫を預けて遠くまで足をのばすこともしてます⭐️
(➕日本酒党❤️)

【法華経寺へのアクセス】
JR総武線「下総中山」下車 徒歩8分
京成本線「京成中山」下車 徒歩3分

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