宮沢賢治が6年通った盛岡の学校に残る100年建築の洋館(旧盛岡高等農林学校本館) ほか
<岩手県盛岡市・花巻市ほか>

■岩手大学農学部 農業教育資料館(旧盛岡農業高等学校本館)/百年記念館
岩手が誇る詩人で童話作家の宮沢賢治は19歳から24歳までの6年間に、盛岡高等農林学校(現岩手大学農学部)で学びました。写真の古い洋館建築は、明治35年(1902)に、日本初の高等農林学校として始まった盛岡高等農林学校の本館として大正元年12月に建てられたもので、大正4年に入学した賢治と約100年の時を隔てて、ほぼ当時の姿を現在でも目にできます。賢治はこの現岩手大学農学部に首席で入学し、在学中に友人たちと文学同人誌『アザリア』を創刊して、短歌と童話を発表していきます。
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この建物は、青森ヒバを用いた明治後期を代表する木造2階建の洋風建築。当時は、校長室・事務室・会議室のほか、二階を大講堂として使用していました。現在までに何度か老朽化による修復工事が行われているため、外観は100年建築とはとても思えない美しさを維持しています。ここは現在「農業教育資料館」として使用されており、「宮沢賢治」に関連した資料も展示しています。
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庭に立つ賢治像は、この学校の教育学部の藁谷収(わらがい・おさむ)教授によるもの。賢治の代表的なポートレイト写真がモチーフで、賢治の哲学性を感じさせるものですが、意外にも!このポーズは、賢治の敬愛するベートーヴェンの真似だとか。ベートーヴェンに関する逸話と言えば、第九を耳にした時、賢治には映像が見えたといいますが(『兄のトランク』)、それもそのはず(?)賢治はどうやら『共感覚(シナスタジア)』の持ち主だったようです。
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農業教育資料館と並ぶ『百年記念館』には、平成18年から賢治を通じての交流を目的とした「宮沢賢治センター」も設置されています。賢治作品の人気が今も衰えない理由には諸説ありますが、“宮沢賢治の文学の根幹には、霊的で野生的で、そして危険な何かがうごめいている(山下聖美/『賢治文学「呪い」の構造』より)”ところも魅力です。
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農業教育資料館(旧盛岡農業高等学校本館)と百年記念館が並ぶ校内のこの一角は、ノスタルジックなゆったりとした時の流れに包まれているかのようです。
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これらの建物のすぐ脇には、静かな文学散歩をするのに、ぴったりな池も!
 
■もりおか啄木・賢治青春館(旧第九十銀行本店)
啄木賢治記念館_画像提供いわての旅
明治43年に第九十銀行本店として誕生した盛岡初の銀行は、現在は「もりおか啄木・賢治青春館」として観光スポットになっています。19世紀のヨーロッパでの新しい建築運動を取りいれたレンガ造りの2階建の洋館建築は、ポイントに花崗岩の切り石を使用することで変化をつけ、重厚感がありながらもロマネスクな仕上がり。館内には銀行営業室を改装した喫茶室「あこがれ」もあり、珈琲を飲みながら文学的レトロ空間で“しっぽり”過ごすのも悪くなさそうです。
 
■羅須地人協会の建物(移築復元)
羅須地人協会_画像提供いわての旅
1926年(大正15年)に賢治は教員をしていた岩手県立花巻農学校を退職後、同じ花巻市にある宮沢家の別荘を使って私塾の羅須地人協会(らすちじんきょうかい)を設立します。(この協会が賢治の意に反して、わずか7ヶ月ほどの活動で終わった理由を知るには、当時の社会情勢を少し知る必要があります。)また、この家は賢治の妹トシが結核に冒されて亡くなる8日前まで療養しており、ある時期には賢治も含めた家族の強い思い(願い)が充満していた家・・そんな気配の残滓も見る人によっては感じ取れるかも?
 
■イギリス海岸
イギリス海岸_画像提供いわての旅
賢治の短編作品『イギリス海岸』においてイギリス海岸と名付けられたのは、花巻の北上川の河底が露出した浅瀬。ここがまるでイギリスのドーバー海峡に面した白亜の海岸を連想させることからの命名のようです。残念ながら現在では、十分な水量が維持された「(底の露出しない)ふつうの川」となってしまい、写真のような不思議で印象深い景観を見ることは(とくべつな場合を除いては)できません。
 
■七つ森(国指定名勝『イーハトーブの風景地』)
七つ森_画像提供いわての旅
賢治作品に多く出てくる七つ森は、雫石盆地の東に連なる小高い丘陵一帯の総称です。平成17年には文学作品を構成する風景地としては“初めて”国の名勝に指定されました。
 
写真:乃梨花、「もりおか啄木・賢治青春館」以降の4画像:岩手県観光ポータルサイト いわての旅より

INFORMATION

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レポーター

乃梨花(「町旅」女子部)

ひとり暮らしの猫飼い人ゆえ、
長らくショートトリップ派・・でしたが、
最近は、ペットシッターさんに猫を預けて
遠くにも足をのばすことも⭐️
(➕日本酒党❤️)

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