冬枯れの浄土庭園・白水阿弥陀堂(しらみずあみだどう)で平安末期の夢さんぽ
<福島県いわき市>

国宝の白水阿弥陀堂(国宝指定名称:願成寺(がんじょうじ)阿弥陀堂)と堂を囲む浄土庭園を冬枯れの景色のなか、散策してみると、色鮮やかな春・夏・秋の風景とは、また違った侘び寂び色の風情が望めます。
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白水阿弥陀堂は、平安時代末期、いわき市一帯を治める豪族の岩城則道(いわきのりみち)の妻・徳姫が、亡き夫(則道)の菩提を弔うために建立されたと伝わる阿弥陀堂で、福島県で唯一の国宝建造物に指定されています。
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徳姫は、奥州藤原氏の祖・藤原清衡の娘で、父親と同様に仏教に篤く帰依し、則道が死去すると剃髪して徳尼御前(とくにごぜん)と名乗ります。則道の冥福を祈るために建てたこの阿弥陀堂も、おそらくは、父・清衡の強い影響の下で、建てたものと考えられます。背景的には、当時の貴族や僧侶らの間に広まった末法思想による浄土信仰の世界観の表れといえそうです。
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浄土式庭園とは、死んだあとの夢のような世界(極楽浄土)をこの世に再現した庭園。金堂や仏堂をはじめとした寺院建築物と園池を一体として築造した仏寺の庭園様式が特徴です。“浄土を再現したような”美しい流麗な庭園はもちろんのこと、極楽浄土へ衆生を導いてくれる阿弥陀仏を本尊に、悟りを得るための行をおさめる空間でもあります。
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浄土式庭園では、阿弥陀堂のある中ノ島は神域で、池(水)は『あの世』と『この世』を分ける「三途の川」の役割です。であれば、境界にかかるこの橋は、さながら『あの世』と『この世』をつなぐ橋。これは、ぼ〜っとしたまま、うかうか渡れません。
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中尊寺金色堂を模して建てられたと伝わる阿弥陀堂の内部は、側面の板壁内面、母屋の柱、天井などに仏像や装飾文様が描かれ、建立時にはきらびやかだったとされています。それから、800年以上の時を経て、風雪にもさらされ、おおかたは剥落してしまいました。
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堂内は、中央に本尊の阿弥陀如来像を安置し、両脇には観世音菩薩像、勢至菩薩像、そして二天像(持国天像と多聞天像)が本尊を守るように左右外側の手前に配されています。(仏像5体は重要文化財。残念ながら堂内は撮影不可。)阿弥陀如来と両脇侍菩薩像(観世音と勢至)は、平安時代末期に確立された日本独自の仏像技法『寄木造り』による木彫りです。
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正面から見ると、方形のつくりが中尊寺金色堂と共通です。調べてみると、平安時代の阿弥陀堂で『現存』するのは、国内に計7つ。そのうち、中尊寺金色堂と、ここ願成寺阿弥陀堂を含めた計5つの阿弥陀堂が、正方形型です。しかもその5つの阿弥陀堂のうちの3つが、みちのくにあり、平泉と関係が深いといわれています。
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この地『白水』も、平泉の泉の字を上下に分け、つけられた地名です。
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浄土式庭園の池の外側(参道以外の)三方は、山で囲まれています。これらも『極楽浄土の風景』を構成する大切な自然遺産です。
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池に集まる水辺の鳥たちも、いわきの美しい自然の景観のなかで、都会の水辺の鳥たちよりも、はるかに伸びやかに見えました。


 
写真:乃梨花

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乃梨花(「町旅」女子部)

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