日本遺産の物語

北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み〜佐倉藩、最後の藩主の「旧堀田邸」
〈千葉県佐倉市①〉

旧堀田邸は最後の佐倉藩・藩主であった堀田正倫(ほったまさとも)が明治維新後に華族として暮らしていた東京から、旧封地の佐倉に戻るさいに庭園とともに新しく建築した純和風木造の邸宅です。
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建物は、江戸期に見られる大名屋敷の伝統的な造りを踏襲しています。また明治期に建築された旧大名家の邸宅(現存するもの)は全国に3つだけ、とたいへん貴重なことから、国の重要文化財にも指定されています。玄関はむくりと呼ばれる丸みを帯びた上品な屋根で、柔かな表情が特徴的です。
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主屋は、座敷棟、居間棟、玄関棟、書斎棟、湯殿からなり、それぞれ身分や格式に応じた仕様で分かれています。なかでも座敷棟は来賓をもてなすためもっとも格式高く造られており、襖紙には金箔を使った「松くわえ鶴」が描かれ、床の間の床柱には鉄刀木(たがやさん)という3大銘木の1つが使われるなど、武家らしく質素を基本としながら、細部まで徹底して上質を貫くこだわりが感じとれます。
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そんな座敷棟から眺める庭の眺めは、日本の伝統的な借景をとりいれ、まるで一幅の絵のよう。庭園内のみならず、借景(庭園外の山や樹木、竹林などの自然や地形を利用し背景として取り込む)により前景と背景が融合した迫力のある景観で訪れた者の目を愉しませてくれます。
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書斎棟に向かう渡り廊下に一歩入れば、なんと視界の左半分は外の景色。内と外を隔てる壁(または障子)との間に、このように外とつながる内部の空間があるならば当時もいまも自然や四季がより身近に感じられるはずです。
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家族が使用していた居間棟の最奧には「入らないでください」の札が。じつはここが正倫が自室として使用していた部屋なのです。ふすまには、和室には珍しいインド更紗が大胆に使用されており、当主の既存の枠組に縛られずに新しいものも果敢に取り込もうとする人となりが感じられます。
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居住空間以外でも重要文化財に指定されているのがこの土蔵(と他には門番所)。建物の木目や木の肌の風合い、蔵の戸板の年月を経た自然な退色などが、精緻な瓦屋根の波打つ縞目模様などと相まって、えもいわれぬ味わいを見せています。
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母屋と同じ明治23年の竣工とみられる堀田邸の冠木門(かぶきもん)。さすが大名家と言われる武家の門らしく、堂々として立派です。
 
写真:乃梨花

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乃梨花(「町旅」女子部)

ひとり暮らしの猫飼い人ゆえの
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