馬込文士村ガイドの会さんと行く起伏の激しい文士村①
<東京都大田区>

大正末から昭和初期にかけて、大田区馬込を中心に大森・山王と周辺地域は、多くの作家や芸術家たちが住居していた。宇野千代と共に馬込で暮らすようになった尾崎士郎は、この土地の良さを仲間に伝えたそうだ。馬込は九十九谷(苦重苦)と言われるほど起伏にとんだ地形で、田園風景が広がる土地であったが、交通の便にも恵まれたため、作家、芸術家たちが生活と創作の場所として暮らしていた。後にこの地域は、馬込文士村と呼ばれるようになった。
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今回は、「馬込文士村ガイドの会」の方々にお世話になり、散策を行った。大森駅西口から北へ向かい、西馬込駅を目指す約3Kmのコースだ。
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JR大森駅西口から天租神社に向かう石段脇にあるレリーフ「群像」。宇野千代と尾崎士郎を中心に、川端康成、 北原白秋、室生犀星などこの土地に所縁のある文士たちが飾られている。
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大正8年当時の大森駅前を再現したレリーフ。人力車が待機している。駅の向こうには、ちらほらと田園と民家が見える。
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そしてこちらが、現在の大森駅前。さすがに人力車は見当たらない。
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昭和初期、文学の世界は転換期だったそうで、馬込の若い文士たちは将来に不安を抱えていたらしい。その不安を紛らわそうと、仲間同士で麻雀やダンスパーティーを行っていた。酒やたばこも嗜んでいた様子がうかがえる。意外と裕福な暮らしを過ごしていたのかもしれない。
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数々のレリーフを横目に階段巾の少ない急な階段を登りつめると「天祖神社」に到着。江戸時代は「新明神社」と呼ばれていたそうだ。
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この松の切り株は「義家鎧かけの松」と呼ばれている。その昔、源義家が奥州征伐のために行軍中、松に鎧を掛けて休憩したとされている。以前は、社殿脇に生えていたらしい。大正六年 に台風禍で倒れ、ご神木の幹だけが祀られている。
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天祖神社を後にして、史跡大森貝塚へ向かう途中に和辻哲郎の解説板がある。文士村にはこの類の解説板が複数存在する。当時、住んでいたと思われる場所付近に許可を得て立てているとのこと。
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品川区・大田区の歴史的名所として有名な「大森貝塚」。品川区から大田区にかけて分布する縄文時代の貝塚だ。石碑は大森貝塚遺跡庭園と史跡大森貝塚に存在する。こちらは後者だ。案内はあるが、あまり目立たないので、普通に歩いていると何も気づかず通り過ぎてしまいそうだ。
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小道を入り、階段を下りていくのだが「こんなところにあるの?」と思ってしまう。
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線路脇に建つ石碑。「大森貝塚」は明治10年にアメリカ人動物学者エドワード・S・モースにより発見される。横浜から新橋へ移動中、電車内から偶然、崖にある大量の貝殻を見つけ、日本政府に発掘調査の許可を申請した。同年、数か月にわたり行われた調査は、日本における最初の学術的な発掘調査と言われている。
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続いて、大森貝塚遺跡庭園へ向かう。北へ10分ほど歩くと到着。世界的に貴重であるこの遺跡は、現在、整備が行われ一般公開(無料)されている。緑が豊かな公園なので、これからの季節は紅葉も楽しめそうだ。
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園内には縄文時代をイメージした休憩所がある。手前に見える円形の部分からは、ある一定の時間にミストが噴射されるとのこと。そんなガイドさんからの説明後に噴射が始まった。この日は、猛暑とは言わないが、少し歩くと汗が出るような天気だったので、涼しげな演出に癒された。
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大森貝塚遺跡庭園では貝塚の標本を見学できる。発掘された実物(貝殻、土器、人骨片など)は、現在、東京大学に保管されており、昭和50年に国の重要文化財に指定されている。
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もちろん、こちらにも石碑がある。大田区の石碑とは大きく異なったデザイン。大きな横型で、上部には縄文時代の深鉢をあしらっている。刻まれている文字も異なっていた。こちらは「大森貝塚」、大田区の石碑は「大森貝墟」である。 共通点としては、こちらも線路沿いに立てられていたことだ。

石碑の近くには、白い彼岸花が咲いていた。彼岸花といえば赤色のイメージしかなかったが、調べてみると白色もあるらしい。白い彼岸花は繁殖力も弱く、比較的珍しいようだ。確かに初めて見た気がする。
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エドワード・S・モースの銅像。そもそも、モースは腕足動物の研究を行うために来日した。腕足動物採集の了承を文化省へ向う移動中に、偶然、貝塚を車窓から発見した。その後、東大法理文学部の教授に就任し、日本の人類学、考古学の基礎をつくったと言われている。
 
 
 

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レポーター

森 順一郎

いたる所に緑や公園があり、四季折々の景観が楽しめる地域。ただし、この季節は虫よけスプレー必須です。

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