不定期連載 -歴史・文化・芸術の堆積「上野の山」を歩く⑨-

連なる赤い鳥居をくぐり抜け、鉄格子を開いて参る「穴稲荷」
<東京都台東区>

ueno09_01上野東照宮から少し坂を下ると赤い鳥居の連なりが見える。花園稲荷神社だ。連続する鳥居といえば、京都にある伏見稲荷大社が有名だが、近年の訪日観光客増加の影響もあり、コチラも知名度が上がっている。
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縁結びにご利益があるといわれるためか、外国人もカップルが多く見受けられた。ただ物珍しい場所を訪れているだけではなく、しっかりと神社の特性を理解して来ているのだなぁと感心する。それほど長くはない距離でも、赤い鳥居が続く階段を二人で降りていく体験は、それだけで特別なコトのように思える。
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鳥居の道を抜けると小ぶりだが賑やかな感じのする社殿がある。ここが花園稲荷神社で、現在の社殿は昭和3年に建てられたもので、花園稲荷という名前は明治6年の再興時に改められた名前。しかし、創祀時からの正しい名称は忍岡稲荷(しのぶがおかいなり)といい、いつからこの地にあったかが分かっていないほど古い神社とのことである。すぐ隣にある五條天神社よりも前ということなので、もしかしたら最古級の神社のひとつといえるのかもしれない。
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さらに、この稲荷神社にはかって石窟の上にあった事から「穴稲荷」という俗称がつけられている。しかし、伝承を知らなくても「穴稲荷」と呼んでしまう理由が、社殿から反対方向へ数歩あるくと見える鉄格子の奥にある。
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格子戸には貼り紙があり、参拝できることが分かるのだが、日本語が読めない外国の方は入り口で引き返していた。というより、昼でも薄暗く提灯にあかりがともされているので、日本語が読めても入りづらい…勇気をだしてなかに入ると、L字型の小さな通路になっていて、つきあたりまでの距離は10メートルほど。最奥に「お穴様」と呼ばれる小さな社が鎮座し祀られていて、古の宗教施設はこんな感じだったのではという神秘的な雰囲気があった。内部は撮影禁止になっていたので、お見せできないのが残念。
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ちなみに、社殿や穴稲荷へまっすぐ続く出入り口の方は、赤い鳥居の連なりがないのでご注意を。ただし、ここから境内を出て数歩坂を下るだけで、医薬の神様を祀られている「五條天神社」に行ける。
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五條天神社の入り口には大きな鳥居がある。実はなかで穴稲荷とつながっているのであるが、キチンとした入口はコチラ。ご由緒をみると、日本武尊(やまとたけるのみこと)が上野忍が岡をお通りになられた時、この地に御祭神をおまつりなされたとのことで、伝承での創祀はなんと約1890年前。 御祭神が医薬の祖神ということから薬効や健康に神威があるといわれ、以後さまざまな変遷をたどりながらも歴史を刻み続けている古社である。
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境内では、無病息災を祈る「茅の輪ぐぐり」の神事も行なうことができ、大勢の訪問者が順繰りに茅の輪をくぐっていた。眺めていると、みなさんキチンと同じ動きができているので驚いたのだが…。
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「輪のくぐり方」の作法がわかるように図入りの解説が設置されていたため、穴稲荷には躊躇していた訪日外国人も茅の輪くぐりは体験していた。来訪者が使う言語や年齢は様々なので、なるべく多くの人に伝える手段として、図や絵での表示は多用していくべきなのだろう。

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レポーター

恩田 正恒

レポーター紹介に使う自分の写真が無くなってきました…ので、一周して最初の写真に。
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