神田明神!界隈で食べ・飲みあるき【神田明神②】
〈東京都千代田区〉

最近はサブカルの聖地としても話題に上るようになった神田明神こと神田神社ですが、すでに1,300年近くの歴史をもち、江戸時代には「江戸総鎮守」として将軍様から江戸庶民にいたるまで江戸のすべてを守護していました。今もなお、神田、日本橋、秋葉原、大手町、丸の内など108の町々の総氏神様として、崇敬を集めています。
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この神田明神のご祭神には、大己貴命(おおなむちのみこと、大黒様)、少彦名命(すくなひこなのみこと、えびす様)、平将門命(たいらのまさかどのみこと)の3柱が祀られていますが、江戸の祟り神であり、守り神、勝負の神である「平将門命」が実質上の主祭神とも言われています。(平将門命は朝敵であったが為に未だに三之宮扱いなのです;)
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また、神田明神は風水上でも江戸にとって要となる場所に位置しています。そもそも江戸城・皇居は風水学の緻密な設計の上に作られていたと言われており、初代将軍の徳川家康が幕府を置いたのは、家康の宗教政策ブレーンである天海大僧正(てんかいだいそうじょう)の勧めだと言われています。
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その天海大僧正は、陰陽五行説にある「四神相応(しじんそうおう)」の考えをベースに江戸城を中心として四方結界を張り、鬼門(東北)を守護する現在の位置に、関東の巨大な地霊である平将門を祀る神田明神を(現在の)大手町から遷座して据え置きました。こうして風水的にはけっして良くなかった江戸の地を平安京を凌ぐほどの見事な風水都市に仕立て上げたのが、陰陽道のエキスパートであり、比叡山で天台密教を極めた、天海大僧正という人物です。
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そんなことを考えながら、神田明神の大鳥居のすぐ左手にある老舗「天野屋(あまのや)」を訪ねました。ここの松の緑と「明神甘酒」の紺地の暖簾がかかる和風の店の佇まいには、なぜか参詣したら立ち寄りたくなる風情があります。この地で創業して170年というこの店は、同じく神田名物と言われる「まつや」「いせ源」「竹むら」などの老舗とともに千代田区の「景観まちづくり重要物件」にも指定されています。
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ここ天野屋は江戸時代の後期、弘化3年(1846年)創業の甘酒屋です。初代の天野新助は京都・丹後の宮津藩の出身で、弟の仇討ちのために江戸の総鎮守であった神田明神に茶店を出し、仇相手が偶然通りががる機会を待っていた、というまるで時代劇に出てくるような逸話が今に残っています。その初代・天野新助が濁酒(どぶろく)を作る技術に近い、米麹が基本の甘酒作りを始めたところ、当時の江戸庶民の間で大流行しました。
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発酵によってできる甘酒は、じつは滋味豊かな栄養源。飲む「点滴」ともいわれ、即効性がありアミノ酸、ビタミンも豊富です。江戸時代、食欲のない盛夏には、うなぎと同じく夏バテ防止の栄養源として重宝されました。ここ天野屋では「甘酒」の伝統の風味を守ってきた天然の糀室が、店舗の地下約6メートルにあり、千代田区指定有形文化財となっています。(写真は冷やし甘酒と氷甘酒。無添加で手作りの甘さは、体にすうっと沁み込む優しさです。)
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もう一軒、神田明神の門前には、宵の頃に入ってみたい店がありました。
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こちらのお店「きやり」も参拝客で賑わっているのをたびたび目にし、以前から気になっていた店です。「明神そば」の灯篭看板と品の良い料理の盛り付け写真が店先に並び、天野屋同様に参拝したさい、つい立ち寄りたくなる、そんな雰囲気を感じていました。
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お通しの茄子の煮浸しは、料理の色が引き立つきれいな緑青色の皿にのって出てきました。予想通り皿や盛り付けもきちんとしていて、それだけで早くもちょっと嬉しくなります。
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2膳目には注文した「籠盛セット」(1800円・税抜き)が運ばれます。こちらは、少量ずついろんな種類の惣菜が盛られ、見た目もにぎやか。さらに天ぷらの椎茸には神田明神ゆかりの銭形平次の投げ銭の紋様が刻んであり、思わずニヤリとしてしまいました。これに少量のお蕎麦がつくので、仕事帰りのチョイ飲みには、質・量ともに十分といえそうです。
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と、ふつうはここで終了なのですが、今回は(取材ということで)籠盛セットに合わせて日本酒も注文してみました。日本酒のおすすめはなんといっても「江戸の酒」。メニューにある、1596年(慶長元年)に地元神田で創業した豊島屋酒造のお酒です。東京では最古の酒舗として知られ、清酒「金婚」は明治神宮、神田明神、山王日枝神社の、東京における主要三大神社すべてに御神酒として納める唯一の清酒だそう。これを聞いたらもう飲まずにはいられません。といいながら、結局頼んだのは、吉乃川・八海山・ばくれんの3種類が980円(税別)のお得な値段で飲める“本日の飲み比べセット”。量にもお味にも満足。そして何よりも家計に優しかったので・・
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ちなみに先に紹介した豊島屋酒造。初代豊島屋重右衛門が慶長元年(1596年)に現在の神田橋付近で商人たちを客として酒屋と一杯飲み屋を兼ねる「豊島屋」を始め、そのさいに当時飲み屋としては、めずらしい酒の肴に田楽の販売を始めたら大評判になったそう。さらには蕎麦と一緒に酒を飲むスタイルを最初に客に勧めたのも、なにを隠そうこの豊島屋十右衛門だと言われています。蕎麦と酒と田楽。いまでは“ふつう”のそれらにも“そもそもの始まりの歴史”がきちんとあるのが面白いですね。(写真は「きやり」の豆腐田楽。ほんのり焦げた味噌の香りに大豆の風味が残る木綿豆腐との組み合わせ。お酒もつい進んでしまいそう?)
 
写真:乃梨花

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乃梨花(「町旅」女子部)

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