新幹線でグンっと近くなった高岡。北陸屈指の歴史遺産の町である。
<富山県高岡市>

耐火煉瓦で囲われた「菅野家住宅」の玄関。重厚であり、また不思議な空間でもある。
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北陸新幹線に乗れば東京から約3時間、かつて加賀前田藩の城下町であった高岡は、明治以降商業都市として発展した町である。国宝「瑞龍寺」をはじめ歴史遺産の宝庫であり、保存・整備されている歴史的町並みは、重伝建地区に選定されている「山町筋」と「金屋町」の二地区がある。両地区ともJR高岡駅の北側に位置しており、合わせて町歩きを決めこむにはうってつけのロケーションである。
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「山町筋」は、旧北陸街道沿いの両側に面した商業地区で、明治33(1900)年の大火で大半が消失したあと、この大火を教訓に再建された。四つ角にある瀟洒な土蔵造りの塩崎家住宅がランドマークだ。店先にかつては秤を商っていたことを物語る展示がなされている。振り向けば黒漆喰で塗り籠めた「棚田薬局」の店蔵を筆頭に、土蔵造りが延々と連なる景観は壮観である。
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山町筋観光案内所前の「菅野家住宅」(国重要文化財)は、やはり防火壁をそなえた黒漆喰の豪壮な商家である。一階の格子、下屋を支える鋳鉄の柱、二階部分の土蔵を思わせる扉、棟瓦の細工、源氏香の文様をかたどった庭の土塀など、意匠はなかなか凝っている。御座敷の四方柾の柱、紅殻の塗り壁など贅を尽くした造りも見事。現在も住居として使用されているが、御当主のご理解のもと、ミセノマ、 ホンザシキ、ブツマなどを一般に公開している。
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西側の御馬出町方面は、白漆喰を塗り籠めた町家が連なる町並みに、富山銀行本店の洋風赤レンガがアクセントを与えている。手入れの行き届いた建物で、高岡の商業都市として栄えた当時の模様を今に伝えている。この歴史的景観に配慮して、道を挟んだ反対側のスーパーマーケットがファサードをそれらしく修景していて興味深い。
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さて、加賀前田藩の収入源のひとつが高岡の鋳造業であり、その鋳造業の拠点が「金屋町」である。山町筋とは違い商家は木造が中心で、道路は景観に配慮した石畳となっている。格子や袖壁をそなえた、北陸地方の特徴を色濃く残す品格ある建物が連なっている。現在でも鋳造は行われており、建物の前面は店の間、奥に作業場が設えられている。
 
写真/米山淳一

INFORMATION

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レポーター

米山 淳一〔よねやま じゅんいち〕

獨協大学外国学部英語学科卒業。岸信介事務所を経て、75 年(財)観光資源保護財団(現(財)日本ナショナルトラスト)入所。事業課長、事務局長を経て、06 年退職。現在は母校の獨協大学等で講義を行うほか、地域遺産プロデューサーとして全国で歴史を活かしたまちづくりプロジェクトを推進。現在、公益社団法人横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)常務理事・事務局長

一般社団法人 日本茅葺文化協会理事
一般財団法人 茶道宗偏流不審庵理事
日本鉄道保存協会事務局長
東映株式会社「大鉄道博覧会」企画プロデューサー
一般財団法人 東武博物館アドバイザー ほか


【著書】
●歴史鉄道 酔余の町並み(駒草出版)
  http://komakusa-pub.shop-pro.jp/?pid=61024099
●続・歴史鉄道 酔余の町並み〈2016年2月1日発売〉(駒草出版)
●写真集「光り輝く特急「とき」の時代」(駒草出版)
◎「地域遺産みんなと奮戦記」(学芸出版)
◎「歩きたい歴史の町並」 文 米山淳一 写真 森田隆敏(JTBパブリッシング)

http://www.j-yoneyama.jp/

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