不定期連載 -歴史・文化・芸術の堆積「上野の山」を歩く②-

東京国立博物館の塀沿いを歩いて国際子ども図書館へ
<東京都台東区>

ueno_b01前回の最後にお伝えした東京国立博物館は公園を貫く通りのつきあたりにあるので、ココから先に行く人は少ないがまだまだ上野の山は続く。
ueno_b02
博物館を出て右手の塀沿いを歩いていくと、すぐに重厚な門が見えてくる。これが昭和26年に重要文化財に指定された「旧因州池田屋敷表門(黒門)」。入母屋造の屋根、門の左右に向唐破風(むこうからはふ)造の番所を備え、大名屋敷の表門としてもかなり格式が高く、明治以降は移築して宮家がご使用になられ、昭和29年になってから現在の場所に移築されている。重厚で威圧感のある装いは、内と外とを隔てる「門」という物の存在意義をあきらかにしているように感じる。江戸時代には「この門をくぐることなど考えられない」という人がほとんどだったはずだが、現代は土・日・祝日の10:00~16:00(天候により中止あり)は開門している。可能なら開門時にきて、通り抜けてみてはいかがだろう。
ueno_b03
ueno_b04黒門を通りすぎ塀の曲がり角になる位置には、かって京成電鉄の一駅であった「博物館動物園駅跡」がこじんまりと佇んでいる。この駅の開業は京成本線開通と同じ年の1933年(昭和8年)。1997年営業休止、2004年に廃止された。地下鉄の駅舎としては非常に凝ったデザインは、博物館など文化施設への入り口を意識してのことだろう。いまでは凝ったと表現できるが、地下神殿の暗闇へと降りていくような入り口は、子供の頃の印象は「怖い」というだけであった。結局一度も入ることなく廃駅となっていたが、いまでも京成電車に乗ると残置されたホームが見られるらしい。なんだか不思議な存在だ。
ueno_b05
駅跡の道向かい、一部喫茶店になっている建物が2002(平成14)年に国の登録有形文化財に指定された「黒田記念館」。
ueno_b06
日本近代洋画の父ともいわれる黒田清輝(くろだせいき)の遺言により1928(昭和3)年に竣工し、その2年後に帝国美術院付属美術研究所として開所。館内の黒田記念室では遺族の方々から寄贈された遺作の油彩画、素描等が展示されている。遺産の一部を美術の奨励事業に役立てるという遺志をうけてか、観覧料は無料。トーハクからひと足延ばす価値がある。
ueno_b07
博物館動物園駅跡と黒田記念館の間の道を行くと、多数の四角形が組み合わされたように見える建物がある。これは、文化財の保護・活用や芸術文化の発展に尽力している「公益財団法人 文化財保護・芸術研究助成財団」のビル。
ueno_b07b
一般公開しているわけではないが、入り口の横には上野周辺の文化的行事案内のほか、広報誌や財団の案内などが置かれているので、興味がある方は手に取って読んでみると良い。私たちが目にすることができる文化財の多くは、多数の人の善意と尽力で残されているということがわかる。
ueno_b08
ueno_b08b財団の隣は「国立国会図書館 国際子ども図書館」で、写真のレンガ棟は帝国図書館として1906(明治39)年に建設された明治期洋風建築の代表作とされる。ここは国立国会図書館の支部図書館として設立された児童書専門図書館で、その名の通り子どものための施設だが、児童書研究資料室など児童書に関する資料専門のフロアもあり、年齢を問わず入館することができる。内装も趣があり素晴らしいので一度は訪ねてみるべき。また、館内にはカフェテリアもあり、リーズナブルな価格で食事や喫茶ができる。上野で歩き疲れたときに、ゆっくりと落ち着いた時間が得られる貴重な場所だが、あまり知られていない穴場である。
 
つづく

INFORMATION

地図

レポーター

恩田 正恒

国立西洋美術館が世界文化遺産に無事登録されたので、前回の記事を一部修正しました。
翌日から大行列になっている報道を見て、世界遺産効果の凄さに驚愕…。

関連タグ

関連記事

エリア

(Categories)

タグ

(Keywords)

すべてのタグを見る

おすすめ記事