不定期連載 -歴史・文化・芸術の堆積「上野の山」を歩く①-

世界文化遺産となった国立西洋美術館から東京国立博物館
<東京都台東区>

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東京の下町では上野恩賜公園一帯を「上野の山」と呼ぶことが多い。ここが特に注目をあびるのは、春の花見の場所としてだろうか。その時期になるとTVで中継され、近年は外国人が大挙して押し寄せるという報道もよく見る。しかし、上野の山にとって花見はごく一部の見どころであり、訪れるべき場所は他にも数多くある。ひとむかし前の上野公園はどこか垢抜けず、なんとなく猥雑な部分も残されていたが、ここ数年で非常に美しく洗練された。少し寂しい感もあるが、訪れる方に薦めやすくなったのは確かである。
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アクセス方法は無数にあるが、駅構内のエスカレーターなどを使って比較的山の上部に出ることができるJR上野駅の公園口がオススメ。
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ueno_a05改札を出て道路一本渡れば上野公園内に入ることができ、園内図や催事の案内が掲示されているうえ、50mほど先には公園案内所もある。
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公園案内所の隣が、今月(2016年7月)世界文化遺産登録されたばかりの国立西洋美術館。フランス政府が中心となって推進する世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」の構成要素として、本館の建造物が2016年7月17日に世界文化遺産となった。
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ル・コルビュジエとは20世紀を代表する近代建築の3大巨匠のひとりで「近代建築の五原則」を定式化し多大な影響を及ぼしたそうだ。国立西洋美術館の本館は「無限に成長する美術館」という構想のもと彼が日本で設計した唯一の作品で、2007年の12月には、国の重要文化財にも指定されている。実は、このとき国重要文化財(建造物)指定の目安である「築50年以上」には2年ほど足りていなかったが、世界遺産登録のために少々早められたようだ。
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最近の話題は本館の建築物に集中しているが、もちろん美術館としての価値も高い。1959(昭和34)年4月の設立以来、明治時代に総理大臣を務めた松方正義の三男、松方幸次郎が築いた「松方コレクション」を核とした常設展のほか、時宜や趣向を考えられた企画展が年間を通して開催されており、西洋美術に関する作品を広く公衆の観覧に供する機関として、芸術の保護・文化の育成に寄与し続けている。
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世界遺産構成資産には景観保全のための緩衝地帯が設定され、国立西洋美術館の場合は上野公園全域が範囲にあたっているそう。一連の流れは上野の洗練化にも一役買っているようだ。そういえば、西洋美術館沿いに国立科学博物館へ向かう道も、綺麗に舗装され道幅も広くなっている気がする。
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ueno_a09aシロナガスクジラの原寸大模型が入り口横に設置されている国立科学博物館は老若男女を問わず楽しめる施設だ。400万点を越える収蔵品のうち、1万点以上が常設展示されていて、誰でも必ず興味があるものにであえる。館内は広いので、見学時間はたっぷり取っておいた方が良い。企画展を見てから常設展を回るとあっという間に閉館時間間際。で、「心残りアリ」というのが私のパターンだ。
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科学博物館を出て20メートルほど歩くと、噴水がある広場にでる。都内ではなかなか見ることができない広い空と、木々に囲まれた一角は都民の癒やしスペース。もちろん観光で歩き疲れたときも、気持ちよく休憩ができる。週末になるとヘブンアーティストと呼ばれる都の審査に合格した大道芸人によるパフォーマンスが行われ、人だかりができていることも多い。
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噴水から反対側を向くと、創設1872(明治5)年の日本初の博物館「東京国立博物館」がある。本館のほか、表慶館、東洋館、平成館、法隆寺宝物館と合計5つの展示館やその他の施設で構成され、10万点を超える品を収蔵しているそうだ。
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和洋折衷のデザインを持つ本館は、1938(昭和13)年に開館し、2001(平成13)年に「旧東京帝室博物館本館」の名で重要文化財に指定された。なかには多数の国宝を含めた数多くの収蔵品がテーマごとに展示されている。義務教育の教科書に掲載されている歴史的・美術的に貴重なものも多く、「ここに実在していたのか」という驚きを感じられる。コチラも館内が広いので時間には余裕をもって訪れたい。5つの展示館すべてをまわるには、丸1日かけても足りない可能性が高い。
 
つづく

INFORMATION

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レポーター

恩田 正恒

炎天下の取材になった上野公園。子供のころから何度もきているのに、初めて気がついたコトがたくさんありました。不定期ですが連載で紹介していきますので、上野歩きの参考にしていただけたら嬉しいです。

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