船頭唄を聴きながら、蔵の町並みを船から眺めりゃ、江戸の風情にどっぷりとひたれる
<栃木県栃木市>

古くから舟運で栄えた町・栃木。町中を流れる巴波川(うずまがわ)を舟に乗って遊覧すれば、町の魅力がひときわ楽しめる。
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栃木は江戸期より例弊使街道(れいへいしかいどう)の宿場町や巴波川の舟運で栄えた商都である。その名残りとして、土蔵造りの町並みを始めとした歴史的景観を形成している。それは長年、町並みの保存運動を推進してきた方々の奮闘があったからだ。市民や行政を説得して合意形成を図る努力は筆舌に尽くしがたく、その保存運動の足跡は「七転び八起き」という表現がピッタリだ。
歴史的町並みが見られるのは、蔵の街大通りと嘉衛門町通りで、いずれも例幣使街道が貫いている。例幣使街道とは徳川家康が日光山に葬られて以来、朝廷から日光東照宮に向かう勅使が通った街道のことである。もちろん、巴波川沿いの商家が連なる地区も含まれ、街道と商都の両面の景観を実感することができる。
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町の中心に当たる蔵の街大通り沿いは、重厚な土蔵造りの商家や洋風の店舗が立ち並び壮観である。電柱が地下に埋設され、町並み景観はすこぶる良い。蔵の街観光館から神明宮に至る土蔵が連なる細い道も味わい深い。
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昔の面影をよく残す嘉衛門町通りは、映画のロケにもたびたび登場する懐かしい町並み。瓦を載せた間口三~四間の明治、大正、昭和初期の町家や土蔵造りが連なっている。地方私鉄をモデルとした鉄道模型のジオラマに登場するような、なんとも懐かしい情景である。
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「油伝」は江戸期より続く老舗の味噌屋で、自前の味噌を使用した田楽が旨い。小芋、こんにゃく、豆腐に伝統の味噌を塗り重ねて焼く。山椒の香りと香ばしい味噌が絶妙のバランスだ。
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もちろん蕎麦も旨いが、B級グルメで知られる「栃木焼きそば」は絶品。茹でたジャガイモの切り身が入って、その食感が不思議な旨味を演出している。地元家庭で普通に食べられていたそうだが、決め手は「ソース」。今でも栃木から足利までに七軒のソース製造元があるそうだ。まさに地ソースである。
 
写真/米山淳一

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レポーター

米山 淳一〔よねやま じゅんいち〕

獨協大学外国学部英語学科卒業。岸信介事務所を経て、75 年(財)観光資源保護財団(現(財)日本ナショナルトラスト)入所。事業課長、事務局長を経て、06 年退職。現在は母校の獨協大学等で講義を行うほか、地域遺産プロデューサーとして全国で歴史を活かしたまちづくりプロジェクトを推進。現在、公益社団法人横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)常務理事・事務局長

一般社団法人 日本茅葺文化協会理事
一般財団法人 茶道宗偏流不審庵理事
日本鉄道保存協会事務局長
東映株式会社「大鉄道博覧会」企画プロデューサー
一般財団法人 東武博物館アドバイザー ほか


【著書】
●歴史鉄道 酔余の町並み(駒草出版)
  http://komakusa-pub.shop-pro.jp/?pid=61024099
●続・歴史鉄道 酔余の町並み〈2016年2月1日発売〉(駒草出版)
●写真集「光り輝く特急「とき」の時代」(駒草出版)
◎「地域遺産みんなと奮戦記」(学芸出版)
◎「歩きたい歴史の町並」 文 米山淳一 写真 森田隆敏(JTBパブリッシング)

http://www.j-yoneyama.jp/

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